【個人事業主 融資】個人事業主が融資を受けるには事業計画が重要!税理士が融資審査の流れを解説
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個人事業主が融資を受ければ、資金繰りが楽になり事業に専念できます。審査時には返済能力を問われるため、説得力のある事業計画を立てることが重要です。融資を活用するメリットや、融資を受ける条件・流れについて解説します。
サイト管理者の紹介 :甲田 拓也 公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表 早稲田大学商学部卒業後、PwCグローバルファーム(中央青山監査法人)や個人会計事務所を経て甲田拓也事務所を設立。 節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中! |
個人事業主が融資を活用すべき理由
個人事業主が融資を受ける主なメリットを紹介します。融資という言葉の意味も押さえておきましょう。
融資とは事業のために借入を行うこと
個人事業主が事業資金を作る主な方法としては、『助成金・補助金』『ビジネスローン』『融資』が挙げられます。このうち、事業のために金融機関などからお金を借りる方法が融資です。
助成金や補助金と異なり、ビジネスローンや融資を利用すると返済義務が発生します。ただし、融資はビジネスローンに比べ、低金利かつ長期返済である点がメリットです。
融資は一般的な『借金』とも意味合いが異なります。消費者金融やキャッシングでの借金が主に消費目的であるのに対し、融資はあくまでも事業目的での借入です。
資金の不安なく事業に専念できる
融資を活用する最大のメリットは、事業の開始時や拡大時に、ある程度の資金を用意できる点です。まとまった現金を一括で受け取れるため、資金繰りの不安がない状態を作り出し、事業に専念できます。
自己資金が少ない状況で事業を進めていると、資金不足が原因で商機を逸する事態も発生しかねません。手元に現金が残りにくいビジネスモデルでも、融資を受けていれば安心して事業を進められます。
倒産のリスクを抑えられる点も、個人事業主における融資活用のメリットです。経営が黒字でも資金がショートすれば、あっという間に事業継続ができなくなる恐れがあります。
経営サポートを受けられる
融資を行っている機関の多くは、多彩な経営サポートを用意しています。お金を借りられるだけでなく、事業におけるパートナーを得られることも、融資の大きなメリットです。
事業を始めたばかりの人の中には、事業計画や資金調達のノウハウが不足している人も多いでしょう。しかし、金融機関から経営支援を受けられれば、経営の安定化を図りやすくなります。
金融機関によっては、新たな取引先を紹介してくれたり、助成金・補助金を案内してくれたりするケースもあります。いつでも相談できる安心感を得られる点もポイントです。
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個人事業主に融資を行う機関
個人事業主が融資を受けられる機関は、民間金融機関・公的金融機関・自治体の3種類です。それぞれの特徴やメリットを解説します。
銀行・信金など民間金融機関
民間金融機関のうち、地方銀行・信用金庫・ネット銀行の多くは、法人だけでなく個人事業主にも融資を行っています。
他の資金調達方法に比べ低金利で借入できる点が、民間金融機関から融資を受けるメリットの一つです。金利が低いほど返済負担も軽くなります。
借入上限額が高めに設定されやすいのもポイントです。事業規模や与信によっては億を超える借入もできるため、思い切った経営戦略を立てやすくなるでしょう。
一度、融資を受けられれば、優良な借入実績を作れます。民間金融機関の融資可否には、担当者の心証が大きな影響を与えることも多く、次回以降の審査で有利に働きます。
日本政策金融公庫
政府が100%出資し、国が運営する金融機関が日本政策金融公庫です。民間金融機関からの借入が難しいとされる創業時の個人事業主に対しても、積極的に融資を行っています。
原則として無担保・無保証人で借入できる点や、低金利かつ長期返済により返済負担を抑えられる点が、日本政策金融公庫のメリットです。
創業時の個人事業主に対しては、融資のハードルが低い分、返済能力を証明するためのさまざまな書類の提出が求められます。申し込みから融資を受けるまでの間、比較的時間がかかりやすいことにも注意が必要です。
地方自治体
各地方自治体では、事業者向けにさまざまな融資制度を用意しています。一定の要件を満たせば、個人事業主でも利用できるケースがあるため、住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。
インターネットを利用し、『自治体名 個人事業主 融資』という複合ワードで検索すれば、該当する自治体の融資情報を見つけやすくなります。
融資を受けられる条件は自治体ごとに異なるため、個別に情報収集することが重要です。社会情勢などにより融資制度が新設される場合もあり、自治体が発信する情報は小まめにチェックしましょう。
融資を受ける条件
個人事業主が融資を受ける際は、いくつかの条件をクリアする必要があります。以下に挙げる主な条件をチェックしておきましょう。
開業届の提出と確定申告
個人事業主として新たに事業を始める場合、事業開始時から1カ月以内に、税務署へ開業届を提出することが義務づけられています。
開業届を出さずに事業を進めても特に罰則はありませんが、融資を受ける際は金融機関から開業届の提出を求められることがほとんどです。事業を開始したら、早めに税務署へ提出しておきましょう。
確定申告を行っていることも、融資を受ける条件の一つです。収支が黒字であっても納税の証明ができなければ、審査の際に返済能力を疑われかねません。社会的信用力を示す書類としても有効です。
事業計画がある
金融機関から融資を受ける際は、事業計画の提示を求められます。将来にわたり安定的な利益が得られることを、事業計画できちんと示さなければなりません。
説得力のある事業計画を立てられなければ、リスクの高い事業主とみなされ、審査に通らないでしょう。資金繰り表・損益計算書・貸借対照表などもあわせて提示し、より説得力のある事業計画を立てることが重要です。
借入時に事業計画を立てることで、現在の経営状況を見直せる点もポイントです。事業計画は、最低でも向こう5年分の計画を立てる必要があります。
融資を受ける流れ
個人事業主が融資を申し込んでから、現金を受け取るまでの大まかな流れを解説します。実際に融資を検討する際の参考にしましょう。
必要書類の準備・提出
個人事業主が融資を受ける場合は、最初に必要書類を準備しなければなりません。一般的には、全部で10種類以上の書類の提出を求められます。
主な提出書類は、本人確認書類・収入証明書類・代表者の印鑑証明書・事業関連書類です。収入証明書類に含まれる確定申告書は、原則として2期分の提出を求められます。
融資審査に必須の事業計画書は、事業関連書類に含まれる書類です。書類の種類によっては入手までに時間がかかるものもあるため、早めに準備することを意識しましょう。
担当者との面談・審査
必要書類を準備できたら、金融機関の担当者と面談するステップに移ります。書類では判断できないことを口頭で質問される、融資審査の中でも重要な項目の一つです。
担当者との面談では、事業主の経歴・融資を受ける理由・融資された資金の使途・返済方法・自己資金額などを主に聞かれます。スムーズに受け答えできるように準備しておきましょう。
面談が終了したら、提出書類のチェックも含めて審査が行われます。審査では事業主の属性だけでなく、事業の将来性などさまざまな要素が考慮されます。
審査期間は2週間~1カ月程度
個人事業主が融資を申し込んだ場合、審査にかかる期間は2週間~1カ月程度です。新規取引の場合や融資額が高額の場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
民間金融機関の審査は、事前審査と本審査に分けて実施されるのが一般的です。事前審査では、過去に重大な金融事故があるなど明らかに融資不可の人を判断するため、長くても1週間程度で結果が分かります。
2回目以降の融資なら審査項目が減るため、1~2週間で審査が終わるでしょう。いずれにしても、申し込みから実際に融資を受けるまではある程度の期間を要するため、その間の資金繰りに注意する必要があります。
まとめ
個人事業主が融資を活用すれば、資金繰りの心配をすることなく事業に専念できます。多彩な経営支援を受けられる点もメリットです。
個人事業主が融資を受けられる主な機関としては、民間金融機関・日本政策金融公庫・地方自治体の3種類があります。きちんとした事業計画を立て、融資された資金を活用し経営の安定化を図りましょう。
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