個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリット。仕訳も解説

, 法人カード

個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリット。仕訳も解説

経費をクレジットカードで支払った場合、どのように経理処理すればよいのか分からなくなりがちです。経費計上の方法を理解しておけば、確定申告作業をスムーズに行えるようになるでしょう。カード払いを個人事業主が経費計上する方法を解説します。

※記事は2021年9月現在の情報になります。

甲田拓也
サイト管理者の紹介
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

 

個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリット

個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリット

事業用経費の支払いでクレジットカードを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。個人事業主がカードを利用する代表的なメリットを二つ紹介します。

 

資金繰りが楽になる

個人事業主がカードで経費を支払えば、資金繰りが楽になります。決済時からカードの支払いまで時間が空き、その間に現金を減らさずに済むためです。

一般的に、カードで支払った分が銀行口座から引き落とされるのは、決済後1~2カ月先になります。カード決済した経費の金額が大きいほど、より多くの現金が残るため資金繰りを改善しやすくなるでしょう。

支払い方法で分割払いやリボ払いを選べば一括で支払う必要がなくなり、キャッシュフローに大きな余裕が生まれます。特に支出が多額になりやすい創業期には、積極的にカードを利用することで資金繰りが楽になるでしょう。

 

ポイントが貯まる

ほとんどのクレジットカードは、利用金額に応じてポイントが貯まります。同じ金額の経費を現金で支払うケースと比べ、ポイントの分だけ得をすることがメリットです。

貯めたポイントをカードの利用代金に充てられれば、経費の削減につながります。マイルや他社のポイントに移行し、ビジネスで有効活用することも可能です。

事業のための経費は高額になりやすいため、ポイントが貯まるスピードも速くなります。クレジットカード選びで迷ったら、よりポイントが貯まりやすいタイプのカードを選ぶのもおすすめです。

 

税務、創業・起業融資、助成金など
創業・起業に関することを全てサポート

甲田拓也事務所にお任せください
創業者様をサポートしております。関与した創業案件は、300社超でございます。設立はもちろんのこと経営や税務、創業・起業融資、助成金など創業・起業に関することを全てサポートいたします。まずはお気軽にご連絡ください。
TEL:0120-206-607
【月曜〜金曜】9:30〜17:30
※メール、LINE、チャットワークは年中無休です。

Webからのお問い合わせはこちら
 

クレジットカード決済した経費の仕訳方法

クレジットカード決済した経費の仕分け方法

確定申告の際に困ることのないよう、個人事業主がカードで支払った経費の仕訳について理解しておきましょう。白色申告と青色申告に分けて解説します。

 

白色申告の場合

白色申告の際の記帳は『単式簿記』が認められています。青色申告のように面倒な『複式簿記』での記帳を必要としない点が、白色申告の大きなメリットです。

カード決済した場合の白色申告における仕訳は、『経費が発生した日付』『経費の内容』『金額』を記載すれば問題ありません。帳簿例は以下のようになります。

収入 支出
10/1 消耗品費 5,000円

 

白色申告は青色申告に比べ、記帳が楽である一方で控除額は少なくなります。税務上のさまざまなメリットを受けられる青色申告のほうがおすすめです。

 

青色申告の場合

青色申告を行う場合、最高65万円の特別控除を受けるなら複式簿記で記帳しなければなりません。まずは、個人カードを利用したケースでの仕訳例を確認しましょう。

借方 貸方
10/1 消耗品費 5,000円 事業主借 5,000円

 

『事業主借』とは、事業の経費を個人のお金で支払った際に使う、個人事業主特有の勘定科目です。

法人カードを利用した場合の仕訳例は以下のようになります。表内の11/10は、銀行口座から引き落としが行われた日付です。

借方 貸方
10/1 消耗品費 5,000円 未払金 5,000円
11/10 未払金 5,000円 普通預金 5,000円

 

法人カードを使うケースでは、次のように仕訳を簡略化できます。ただし、年をまたぐ場合は『未払金』を使って記帳しなければなりません。

借方 貸方
11/10 消耗品費 5,000円 普通預金 5,000円

 

個人、法人カードのどちらを使うべき?

個人、法人カードどちらを使うべき

個人事業主が使うクレジットカードの種類は、個人カードより法人カードのほうがおすすめです。法人カードのメリットや選び方について解説します。

 

法人カードは経費を一元管理できる

事業用経費とプライベートの費用を個人カードで支払っていると、プライベートの費用は必要経費として計上できないため、経費の分類作業に手間がかかります。

しかし、事業用経費の支払いに法人カードを利用すれば、事業用経費とプライベートの費用を明確に分けられます。法人カードの利用明細書で事業用経費を一元管理できる点もメリットです。

近年は、会計ソフトと連携できる法人カードも増えています。経費の入力作業にかかる時間や手間を省けるだけでなく、勘定科目も自動で推測してくれるため、経理処理を大幅に効率化できるでしょう。

 

ビジネスをサポートする特典も豊富

多くの法人カードでは、事業に役立つ多種多様なサービスを利用できます。特典を有効活用すれば、あらゆるビジネスシーンで経費削減や業務効率化につながるでしょう。

代表的な特典としては、空港ラウンジの無料利用サービスや旅行保険が挙げられます。いずれも、出張が多い個人事業主に向いたサポートサービスです。

ビジネスについて相談できるコンサルティングを受けられたり、ホテルやレストランなどの予約を代行してくれるコンシェルジュサービスを利用できたりするカードもあります。

追加カードを発行できる点も法人カードの大きな魅力です。従業員に追加カードを持たせれば、経理業務がより楽になります。

 

法人カードを選ぶポイント

法人カードを持つと年会費が発生します。年会費が高いカードほど充実した特典を用意している傾向があるため、特典の内容を確認してコスパが高いカードを選びましょう。

カードの利用可能枠にも注意が必要です。利用可能枠が大きいほど多くの出費に対応しやすくなります。年会費とのバランスがとれているか確認することが重要です。

ポイント還元率の高さもチェックしておきましょう。より多くのポイントを獲得できれば、ポイント分を経費削減につなげられます。有効期限がないポイントを貯められるカードがおすすめです。

 

クレジットカード決済に関する疑問点

クレジットカード決済に関する疑問点

事業用経費をカードで支払った場合、確定申告の際に疑問点が発生することもあるでしょう。迷いがちなポイントと対処法を紹介します。

 

年会費は経費になる?

経費とは、事業を進める上で必要な費用のことです。事業に関連する支出は、基本的にどのようなものでも経費計上できます。

法人カードの年会費は経費として認められます。法人カードは事業用支出のために作られるものとみなされるためです。勘定科目は『支払手数料』『会費』『雑費』を使います。

個人事業主が個人カードを事業で使っている場合も、年会費を按分すれば経費計上が可能です。例えば、カード払い分の6割が事業用の支出となっているなら、年会費も同様に6割を経費にできます。

 

領収書がない場合は利用明細書でOK?

確定申告で経費計上する費用に関しては、領収書を保存することが義務づけられています。カード払いで対応した経費の領収書は、利用明細書で代用できます。ただし、利用明細書を領収書の代わりとするためには、記載項目の種類に注意が必要です。

発行者名・取引年月日・取引内容・金額・購入者氏名の項目が全て記載されている明細なら、領収書として扱えます。お店のレシートであっても、上記項目が全て含まれていれば代用可能です。

クレジットカード利用時に領収書が発行される場合は、金額が5万円以上でも印紙税は課税されません。ただし、領収書内にカード払いを行った旨の記載があることが条件です。

 

WEB明細は印刷して保存を

経費の領収書は紙での保存が義務づけられています。カード会社から利用明細書が送付されない場合は、WEB明細をダウンロードした上で、紙に印刷して保存しましょう。(※令和4年1月以降の電帳法施行後は取扱が変わると思われますので留意)

カード会社によっては、一定期間経過後に明細をダウンロードできなくなるケースがあります。データが消えると紙で保存できなくなるため、明細は小まめにダウンロードしておくことが肝心です。

確定申告後の保存期間は7年間と定められています。万が一税務署の調査を受けることになれば、最大7年分の関連書類が必要となるため、きちんと保存しておくことが大切です。

 

分割払いの場合はどうなる?

カード決済時に分割払いやリボ払いを選択した場合は、手数料が発生します。分割払いやリボ払いの手数料は、勘定科目を『支払手数料』として仕訳するのが一般的です。

カードの引き落とし金額が3万円、そのうち手数料が3,000円であった場合、複式簿記による記帳は次のようになります。

借方 貸方
11/10 未払金 27,000円 普通預金 30,000円
支払手数料 3,000円

 

クレジットカードで経費を支払う際の注意点

カードで支払った経費に関しては、購入時と引き落とし時のそれぞれで帳簿付けが必要です。ポイントを利用した場合に経費計上しなければならないケースについても解説します。

 

利用時、引き落とし時の帳簿付けが必要

『発生主義』で記帳する場合は、カード利用時と引き落とし時の両方で帳簿付けを行わなければなりません。現金払いのケースと異なり、カードを利用する場合は購入と支払いのタイミングが異なるためです。

法人カードを利用するケースでは、青色申告の複式簿記と同様に『未払金』の勘定科目を使って仕訳します。

借方 貸方
消耗品費 5,000円 未払金 5,000円
11/10 未払金 5,000円 普通預金 5,000円

 

法人カードで個人的な買い物をした場合は、借方勘定科目に『事業主貸』を使います。口座の金額を合わせるためだけの処理なため、購入日ではなく実際にお金が動いた引き落とし日で計上するのがポイントです。

借方 貸方
11/10 事業主貸 2,500円 普通預金 2,500円

 

ポイントもきちんと計上を

カード利用時に貯まるポイントをお金として使う場合は、貸方勘定科目を『雑収入』として仕訳します。例えば、500円分のポイントを使って5,000円の支払いを行った場合、具体的な仕訳例は以下の通りです。

借方 貸方
11/10 未払金 5,000円 普通預金 4,500円
雑収入 500円

 

キャッシュバックを受けたり商品券と交換したりした場合も、雑収入で処理します。ただし、ポイントを商品などの物品と交換するケースでは、会計処理を行う必要はありません。

 

税務、創業・起業融資、助成金など
創業・起業に関することを全てサポート

甲田拓也事務所にお任せください
創業者様をサポートしております。関与した創業案件は、300社超でございます。設立はもちろんのこと経営や税務、創業・起業融資、助成金など創業・起業に関することを全てサポートいたします。まずはお気軽にご連絡ください。
TEL:0120-206-607
【月曜〜金曜】9:30〜17:30
※メール、LINE、チャットワークは年中無休です。

Webからのお問い合わせはこちら
 

まとめ

個人事業主がクレジットカードで経費を支払えば、資金繰りが楽になったり、ポイントが貯まったりするメリットを受けられます。経費を一元管理できる法人カードを使うのがおすすめです。

法人カードなら、ビジネスをサポートする特典が豊富な上、年会費を全額経費にできます。確定申告時にスムーズな処理ができるように、経費の仕訳方法もしっかりと理解しておきましょう。

税務、創業・起業融資、助成金など
創業・起業に関することを全てサポート

甲田拓也事務所にお任せください
ご予約ご希望の方はお問い合わせフォームより
ご連絡をくださいますようお願いします。
TEL:0120-206-607
【月曜〜金曜】9:30〜17:30
※メール、LINE、チャットワークは年中無休です。

Webからのお問い合わせはこちら
 
TOPに戻る
お問い合わせ 電話する