下半期の法人節税対策一覧!利益が出過ぎた場合に一人法人でもできる方法とは

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下半期の法人節税対策一覧!利益が出過ぎた場合に一人法人でもできる方法とは

決算が近づくにつれ想定以上の利益が見えてきて、下半期から打てる節税策はないかと頭を悩ませる経営者は少なくないのではないでしょうか。手元の納税資金が気になる一方で、何から手をつければよいのか分からず、ひとりで悩みを抱えてしまう方もいるはずです。

本記事では、一人法人から従業員のいる中小企業まで実践できる節税の王道に加え、利益が出過ぎたときほど避けたいグレーな手法までまとめて解説します。

下半期から間に合う法人の節税対策には何がある?

利益が出過ぎてしまった年でも、下半期から動けば間に合う節税策はいくつも残されています。ここでは、一人法人から中小企業まで取り入れやすい代表的な3つの方法を、それぞれの要件や注意点とあわせて解説します。

決算賞与を支給して利益を圧縮する

決算賞与は、好業績の期に従業員へ利益を還元しながら法人税を圧縮できる王道の手段です。

当期の損金として認めてもらうには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 決算日までに、支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての従業員へ通知する
  • 通知した金額を、通知を受けたすべての従業員に対し、事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払う
  • 通知した支給額について、通知した日の属する事業年度に損金経理する

通知は口頭ではなく文書で残しておくと、のちの税務調査でも支給の事実を立証しやすくなります。ただ、支給日に在職する従業員だけに払う規定があると、未払計上した全額が損金として認められなくなるため注意しましょう。

1か月以内の現金支出が資金繰りを圧迫しないか、支給前にしっかり見極めておくと安心です。

短期前払費用の特例を活用する

短期前払費用の特例を使えば、翌期分の家賃や保険料を当期の損金へ前倒しで落とせます。

対象になるのは、支払日から1年以内に提供を受けるサービスへの前払いで、家賃や保険料のように等質・等量の役務でなければなりません。ただ、月払いの契約を勝手に1年分支払っても認められないため、事前に年払いへ契約を変更しておきましょう。

いったん適用すると黒字の年だけ使う運用は許されず、継続して同じ処理を続ける姿勢が求められます。なお、税理士の顧問料のように内容が毎月変わる費用は対象外となるため、気をつけておくと良いでしょう。

法人の経費を増やせる「出張旅費規程」を作成する

出張旅費規程を整えると、一人社長でも役員報酬とは別に出張日当を経費へ計上でき、法人税を軽減できます。

日当は受け取る側の所得税や社会保険料の対象外となるため、会社と個人の双方で負担を抑えられる点が大きな魅力です。ただ、規程がないまま日当を払うと経費として認められず、支給額へ法人税が課されてしまうため注意しましょう。

金額は国家公務員の旅費規程なども参考に、社会通念上で妥当な水準に収めておくと安心です。なお、規程を作ると社長以外の役員や従業員にも支給義務が生じるため、対象範囲も忘れずに確認しておきましょう。

中小企業倒産防止共済に加入して掛金を全額経費にする

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、掛金の全額を損金へ落としながら、取引先の倒産にも備えられる心強い制度です。

中小機構が運営する公的な制度で、掛金は月額5,000円から20万円まで自由に選べ、納めた全額をそのまま経費にできます。とくに1年分を前納すれば、最大240万円を当期の損金へ一括計上できるため、下半期からの決算対策としても効果の高い仕組みです。

積立は総額800万円まで続けられ、40か月以上納めてから解約すれば、掛金を100%受け取れます。ただ、解約時の手当金は益金として課税されるため、退職金の支払いなど出口の使いみちもあわせて考えておきましょう。

なお、2024年10月の改正で、解約後2年が経過するまでは再加入しても掛金を損金にできなくなったため、短期間での解約と再加入には気をつけましょう。

創業支援からIPO支援まで
公認会計士・税理士 甲田拓也事務所

不動産を活用した法人の節税

不動産をうまく使うと、家賃の大部分を会社の経費へ落としながら手元の負担を抑えられます。ここでは、役員や従業員向けの社宅制度と、一人法人が自宅を社宅化する方法の2つを、具体的な手順を交えて解説します。

役員や従業員に向けた社宅制度を導入する

社宅制度は、家賃の一部を会社負担にして法人税と社会保険料の両方を抑えられる効果的な仕組みです。

経費として認めてもらうには入居者から賃貸料相当額を受け取る必要があり、従業員なら相当額の50%以上を徴収すれば給与課税を避けられます。賃貸料相当額は実際の家賃ではなく、建物と敷地の固定資産税の課税標準額をもとにした計算式で求めます。

ただ、受け取る金額が相当額を下回ると、差額が給与とみなされて所得税や法人税の追徴につながるため注意が必要です。社宅を導入するときは、社内規定の整備とあわせて運用ルールも明文化しておくと安心でしょう。

一人法人の場合は自宅を社宅として節税する

一人法人なら、自宅を会社名義の社宅へ切り替えるだけで家賃を経費にでき、しっかり節税につながります。

賃貸住まいの場合は、貸主の承諾を得たうえで契約名義を社長個人から法人へ変更し、会社が家賃を支払う形へ整えていきます。社長からは、固定資産税の課税標準額などを基に算出した『賃貸料相当額』(結果として実際の家賃の1〜2割程度になることが多い)を徴収する必要があります。

持ち家を社宅化する場合、会社への売却や賃貸借契約など複数の方法が考えられるため、住宅ローン控除や登記・税務上の影響も含めて慎重に検討しましょう。名義変更には登記簿謄本や印鑑証明書などの書類も必要になるため、早めに準備を進めておくと安心です。

法人利益が出過ぎたときに注意すべきグレーな節税

節税のつもりで踏み込んだ処理が、かえって否認や追徴を招いてしまうケースも少なくありません。ここでは、利益が出過ぎたときほど手を出しがちな、注意すべきグレーな節税を3つ取り上げて解説します。

過度な保険加入による資金繰りの悪化を防ぐ

法人保険への過度な加入は、節税効果よりも資金繰りの悪化を招くリスクのほうが大きくなります。

2019年の税制改正で損金算入のルールが厳格化され、かつてのような全額損金による節税効果はほぼ見込めなくなりました。保険料は毎期発生し続けるため、無理な契約を結ぶと手元資金を確実に削っていきます。

また、解約返戻金を受け取るときには益金へ算入され、出口で法人税が増える点も見落とせません。保障の必要性を冷静に判断し、資金計画に無理のない範囲へ抑えておく姿勢が欠かせません。

期中の不自然な役員報酬の変更を避ける

役員報酬を期の途中で不自然に動かすと、増額分や減額分が損金として認められなくなります。

定期同額給与として損金算入するには、原則として事業年度の開始から3か月以内に改定を終えなければなりません。例えば期首が4月開始の会社なら、6月末までに株主総会の決議を経て金額を確定させる流れになります。

利益が出そうだからと期中に役員賞与を急に出しても、事前の届出がなければ経費としては扱われません。役員報酬は期首の段階で年間の利益を見通しながら、慎重に設計しておくと安心でしょう。

私的な支出を交際費にするなどの処理をやめる

社長や役員の私的な支出を交際費へ紛れ込ませる処理は、税務調査で否認される危険が高い行為です。

業務との関連を証明できない飲食代や贈答品は交際費と認められず、役員給与として扱われてしまう場合もあります。とくに一人社長の場合は、家族との食事や旅行を費用へ計上していないか、厳しくチェックされるでしょう。

否認されると課税所得が増えるだけでなく、過少申告加算税や重加算税といったペナルティが科される恐れもあります。参加者や目的をきちんと記録し、私的な支出と事業経費を明確に分けて処理しておくと安心です。

まとめ

下半期からでも、法人の利益を圧縮できる節税策は数多く残されています。決算賞与や短期前払費用の特例、出張旅費規程の整備は、期末を待たずに早く動くほど効果を発揮します。

不動産を使うなら社宅制度の導入が有力で、一人法人でも自宅の社宅化によって家賃の一部を経費へ振り替えられます。

一方で、過度な保険加入や期中の役員報酬の変更、私的支出の交際費化は税務リスクが高く、否認や追徴を招きかねません。グレーな手法に頼るよりも、合法的で確実な施策を選ぶほうが、結果として会社を守る近道になります。

期末になって慌てないために、利益が見えてきた今のうちから、顧問税理士とも相談しながら、できる対策を一つずつ進めていきましょう。

創業支援からIPO支援まで
公認会計士・税理士 甲田拓也事務所

監修者

甲田拓也
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!
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