個人事業主が経費にできるものとは?上限や割合なども詳しく解説

2021.06.04 , 個人事業主

個人事業主が経費にできるものとは?上限や割合なども詳しく解説

 

個人事業主として事業を開始した当初は、経費について分からないことも多いでしょう。できるだけ多くの費用を計上できれば、所得税や住民税の節税につなげられます。個人事業主が経費にできるものや、申告する際の注意点を解説します。

個人事業主の経費とは?

個人事業主の経費とは

(出典) pexels.com

個人事業主にとって、経費とはどのようなものを指すのでしょうか。言葉の意味や計上するメリットについて解説します。

事業を行うための費用

個人事業主の経費とは、個人事業主が事業を営むために発生した費用です。『必要経費』や『コスト』と呼ばれることもあります。

個人事業主が事業を進める上では、さまざまな費用がかかります。基本的に、事業を営むに関連して発生した費用は、全て経費とすることが可能です。

個人事業主が経費を計上するメリット

事業で収入を得ると、収入から経費や各種控除を差し引いた『課税所得』に応じて、所得税や住民税が課税されます。

課税所得が少ないほど、税金も安くなります。つまり、事業収入からより多くの経費を差し引ければ、課税所得を低く抑えられるため節税につながるのです。

個人事業主は、自分で導き出した課税所得を、確定申告の際に申告します。経費をいくらにするかで最終的な税額が変わるため、きちんと理解を深めておく必要があります。

経費にできそうな支出でも、実際には計上できないものがあります。できるものとできないものを、きちんと区別できるようになることが重要です。

白色申告と青色申告の経費の違い

白色申告と青色申告の経費の違い

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個人事業主が確定申告をする方法は、白色申告と青色申告の2種類です。基本的な考え方はどちらも同じですが、白色申告と青色申告で計上できる範囲が異なるものがあります。

白色申告で計上できる経費

パソコンなど10万円以上する備品を購入した場合、一括で経費にできません。耐用年数に応じた期間で購入費用を分け、減価償却費として数年にわたり計上する必要があります。

家事按分する場合も、白色申告と青色申告で割合が異なります。白色申告では、事業で使用する部分が多くの割合を占めなければ、家賃や水道光熱費を経費にできません。

一緒に働いている家族に給料を支払っている場合、白色申告では家族への給料を経費にすることは不可能です。ただし、一定の要件を満たせば、事業専従者控除の対象になります。

青色申告で計上できる経費

高額な備品を購入した場合、青色申告では30万円未満なら『中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』を利用して一括で計上できます。購入価格が30万円以上であれば、減価償却費として処理しなければなりません(※令和3年6月現在の法令による)。

家事按分についても、青色申告では大きなメリットがあります。わずかな割合でも事業に関する部分があるなら、割合に応じて家賃や水道光熱費を経費にすることが可能です。

家族に給料を払っている場合は、青色申告なら一定の要件を満たせば給料を全額経費にできます。あらかじめ提出した限度額の範囲内であれば、計上できる金額の上限も設けられていません。ただし、相場とかけ離れた高額な給与額を設定するのはNGです。

個人事業主が経費にできるもの

個人事業主が経費にできるもの

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計上可能な支出をできるだけ経費にすることで、大幅な節税につなげられます。個人事業主が経費として計上できる主な費用を紹介します。

事業で使う消耗品

個人事業主が経費計上できる代表的な費用として、事業で使用する消耗品費が挙げられます。消耗品に該当する主なものは、事務所の文具やパソコン関連商品などです。

経費の項目を選ぶ際、コピー機のインクや文房具を消耗品費ではなく『事務用品費』とする場合もあります。どちらでも経費として算入できますが、最初に決めた科目で統一した方が管理しやすいでしょう。

消耗品に該当するものでも、購入価格が10万円以上になると、減価償却しなければならないケースがあります。また、10万円以上の消耗品費でも、使用年数が1年未満の場合は経費として一括で計上が可能です。

家賃や光熱費・通信費

自宅の一部を事務所としている場合、賃貸物件なら家賃を按分して経費にできます。物件の管理費や火災保険料も、同じ割合で按分して計上することが可能です。

自宅が持ち家なら、建物を資産に計上し、減価償却費の勘定科目で計上できます。持ち家にかかる固定資産税・管理費・火災保険料・住宅ローンの利息も、按分すれば大丈夫です。

水道光熱費も家事按分できる費用の対象です。通信費は、固定電話や携帯電話の初期工事費・利用料金・プロバイダ料金などが認められます。事業で発生した郵送費も、経費として計上してかまいません。

交通費や宿泊費

打ち合わせや商談などの目的で外出した際、交通費や宿泊費が発生すれば、個人事業主の経費になります。仕事で外出する機会が多い場合は、金額が大きくなりやすい支出です。

出張中に食事代が発生した場合も計上できます。ただし、プライベートの旅行を兼ねて出張するケースでは、事業に必要な部分を按分して計算しなければなりません。

事業主の旅費を日当とすることは認められていませんが、従業員の出張費は日当として計上できます。この場合は、日当の根拠となる旅費規程を作成する必要があります。

事業に関連する飲食費

飲食費に関しては、事業に関係する出費なら経費計上できます。食費を経費で落とす際は、会議費・接待交際費・旅費交通費・福利厚生費のうち、いずれかの科目に分類するのが一般的です。

例えば、レストランで取引先と会議をした場合は、会議費として経費にできます。取引先と居酒屋でお酒を飲むケースでは、接待交際費として算入することが多いです。

従業員の食事補助を出す場合は、要件を満たせば福利厚生費に該当します。カフェで1人で仕事をしたときの支出は、雑費として計上することが多いです。

高額な会議費を経費にすると、費用の用途を疑われかねないため注意しましょう。取引先との飲食費が高額になる場合は、一つの目安として5,000円以下の費用は会議費に、それ以上の飲食代は接待交際費にすることが多いです。

個人事業主が経費にできないもの

個人事業主が経費にできないもの

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支出の内容によっては、経費にしてよいのかどうか迷ってしまうものもあるでしょう。個人事業主の支出のうち、認められない出費の具体例を紹介します。

事業主の健康保険料や国民年金

個人事業主が自分のために支払う健康保険料や国民年金は、経費計上できません。ただし確定申告の際に『社会保険料控除』として所得から差し引くことができます。

保険料に関しては、事業で使用する自動車の保険料や、事業に関連する建物の火災保険料・地震保険料は経費にできます。従業員の傷害保険料・生命保険料・社会保険料も、福利厚生費での処理が可能です(注:生命保険に関しては内容により全額が経費にならないこともあります)。

個人事業主自身にかかる所得税や住民税といった税金は、事業用の出費とはいえないため経費にできません。

ただし、固定資産税・印紙税・個人事業税など、事業で必要な納税分に関しては認められます。『租税公課』の勘定科目で計上するのが基本です。

私的な出費

事業にまったく関係がない、個人事業主自身の私的な出費は、全て経費計上できません。私的に購入した書籍・CDや、個人的な飲食費・交際費などがあてはまります。

自分自身の健康診断や人間ドックの費用も、私的な出費として扱われる支出です。福利厚生費として算入しがちですが、福利厚生はあくまでも従業員のためのものであるため、これらの費用は私的な出費に該当します。

そのほか、個人事業主が引き出す生活費・税金の延滞金・プライベートで会った取引先との飲食費も、私的な支出として扱わなければなりません(経費になりません)。

その他の迷いやすい費用

経費にできるかどうか迷いやすい費用としては、事務所を兼ねた自宅の敷金が挙げられます。敷金は将来的に返ってくるものであるため、資産として扱わなければなりません。

スーツ代は判断に迷う費用です。ビジネス用に着用しているだけだとしても、冠婚葬祭や普段着としても着用できるとみなされるため、認められないことが多いようです。

個人事業主が経費計上する際の注意点

個人事業主が経費計上する際の注意点

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経費について考える際に気を付けるべきポイントを解説します。確定申告をするときの参考にしましょう。

多すぎると税務署から調査を受けることも

個人事業主が経費計上する場合、あまりにも金額が大きいと、税務署から調査を受ける可能性があります。このような場合、税務署の調査の際により厳しいチェックが入るため、間違いを指摘されやすくなる可能性があります。

出費を計上する際は、常識的な金額に収まっているかどうか確かめることが重要です。年収が500万円しかないにもかかわらず、1回数十万の飲食費が毎月計上されているようなケースでは、不自然な出費とみなされやすくなります。

個人事業主の経費率は、60%が一つの目安とされることが多いようです。売上が500万円なら、500万円×60%=300万円が上限額の目安です。しかしながら、個人事業主の業務内容によって、この率は変わります。一つの目安として参考にしましょう。

事業との関連性を証明できるかが大切

経費にできる支出は、その出費が事業と関連していなければなりません。それぞれの支出について、事業との関連性をきちんと証明できるかが重要です。

例えば、家事按分を行う場合は、なぜそのような割合なのか合理的な説明が必要となります。按分を行う時点で、プライベートと事業の割合をしっかりと考えなければなりません。

取引先との飲食代を計上する際も、どのような理由で飲食が必要だったのかを明確にしておきましょう。税務署から指摘された場合、しっかりと説明をできるようにしておくと安心です。

レシートや領収書を保管しておく

経費計上する費用については、レシートや領収書など、原則、支払ったことを客観的に証明する書類が必要です。後から用意するのは困難なものも多いため、支払い時に受け取ったらきちんと保管しておきましょう。

支払いを証明できる書類として通用する主な書類は、レシート・領収書・請求書・クレジットカードの利用伝票・ATMの振込明細書・通帳です。公共交通機関を利用し、交通費の領収書を入手できない場合は、出金伝票でも代用できます。

事業を営む上で発生した費用に関しては、レシートや領収書を必ず受け取ることを習慣化しましょう。どのような目的で支出したのか、裏側にメモを残しておけば、後から処理をしやすくなります。

個人事業主が知っておきたい経費の疑問

個人事業主が知っておきたい経費の疑問

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経費の上限や家事按分の割合は、多くの個人事業主が悩みがちな問題です。以下に挙げるポイントを押さえておけば、よりスムーズに確定申告を行えるでしょう。それぞれについて詳しく解説します。

経費には上限がある?

個人事業主が計上できる経費の金額に上限はありません。あてはまる費用があるなら、理屈上はいくらでも経費として算入することが可能です。

ただし、前述しましたように、年収に対してあまりにも不自然な出費があると、税務署から注意される恐れがあります。事業に必要な支出であったのなら、そのことをきちんと説明できなければなりません。

また、収入に対する支出の割合が大きくなるほど、事業で利益を上げられていないことになります。儲けが少ない状況は、銀行から事業資金の融資を受ける際に、不利な要素になりかねない点も意識しましょう。

家事按分の割合は?

家賃や水道光熱費などの費用の一部を経費にできる家事按分は、プライベートと事業用の部分を、合理的な説明が可能な割合で分けなければなりません。

家賃を按分する際は、仕事で使用している部屋の面積が占める割合を適用します。電気料金や通信費は、使用した時間に応じて按分するのが一般的です。

住宅ローン控除の適用を受けている場合は、家賃の按分割合に注意が必要です。事業での使用割合が50%を超えてしまうと、住宅ローン控除を受けられなくなります。

まとめ

個人事業主が経費にできる支出は、事業を行うために支払った費用です。より多くのコストを計上できれば、課税所得額を減らせるため節税につながります。

費用を算入するにあたっては、それぞれの費用が事業と関連していることを証明できるかが重要です。計上できるものとできないものをしっかりと理解し、適切な申告を行いましょう。

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