開業時の資金調達方法を整理。事業に合った手段を選択しよう

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開業時の資金調達方法を整理。事業に合った手段を選択しよう

個人事業主として開業する場合、資金が不足していると開業直後に資金繰りで苦労することになるでしょう。事業が軌道に乗るまでの間を乗り切るためには、十分な開業資金が必要です。開業時の資金調達方法や、資金集めのポイントについて詳しく解説します。

 

甲田拓也
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

 

開業時に用意すべき資金

開業時に用意すべき資金

事業をスタートする際は、設備資金と当面の運転資金を用意しておかなければならないでしょう。法人の場合は、法人登記費用などの準備も必要です。

 

設備資金

店舗を構えて開業する場合は、物件にかかる初期費用が発生します。最初に支払う家賃に加え、敷金・礼金・仲介手数料・保証料のための資金が必要となるでしょう。

飲食店やショップを立ち上げる際は、内外装を整えるリフォーム費用や、器具・備品などの設備にも費用がかかります。

店舗の有無にかかわらず、開業時に必要となるのがパソコンなどの電子機器類です。事業内容によっては、FAX・コピー機・プリンターなどを必要とするケースもあります。

自宅の一部を事務所として使う場合は、私物を業務で使用することもあるでしょう。準備資金は節約できますが、コストの全額を経費計上できない点には注意が必要です。

 

当面の運転資金

一般的に、開業直後は十分な収入を得られません。数字上は利益が上がっていても、掛取引の場合は現金を受け取れるのが早くて翌月になるでしょう。

しかし、人件費や光熱費など事業に必要な固定費は開業直後から発生します。経営が軌道に乗るまでの期間を乗り切るために、開業時は当面の運転資金の準備が必要です。

事業を進めるにあたっては、収益を上げることに加え、手元の現金を切らさないようにすることも重要です。売上は立っていても資金がショートすれば、開業してすぐに経営が苦しくなるでしょう。

当面の運転資金として用意しておくべき金額の目安は、月々の必要経費の3カ月分です。一般的に、3カ月先なら売掛金を回収できます。

 

法人登記費用

個人事業主として事業を開始する場合、開業自体には費用がかかりません。一方、法人として開業するケースでは、法人化に関するコストが発生します。

会社設立に必要な費用は、法人の登記時に納付する登録免許税と、定款認証時の印紙代です。登記などの会社設立業務を専門家に依頼するなら、代行手数料の支払いも発生します。

資本金や設備資金、当面の運転資金も、上記の費用とは別に準備しなければなりません。法人化する場合は、個人が開業するケースと比べ、ある程度まとまった資金が必要です。

 

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開業資金を用意する方法

開業資金を用意する方法

開業資金の準備方法は、自己資金を貯める方法と資金調達を行う方法の二つに大別できます。自己資金がある場合も、足りない分を資金調達でまかなうケースが多いでしょう。

 

自己資金を貯める

開業資金を準備する方法の一つとして、自己資金を貯めることが挙げられます。設備費用や初期の運転費用を自己資金でまかなえれば、外から資金を集める必要がないため安心です。

結果的に開業資金の調達を検討せざるを得なくなった場合も、自己資金を貯めておくことで、審査時に有利に働きます。

資金調達時に高く評価される自己資金のポイントは、計画的に貯めていることと、貯めた事実が通帳などで客観的に分かることの二つです。タンス預金は自己資金とはみなされません。

貯めた金額も審査に影響するため、できるだけ多くの自己資金を貯めておくに越したことはないでしょう。

 

資金調達を行う

開業資金を自己資金の範囲内でまかなおうとしても、いざ事業をスタートすると、想定外の費用が数多く発生するものです。自己資金だけで足りない分は、外部からお金を集める資金調達を行う必要があります。

資金調達の種類は、『保有資産の現金化』『出資を受けて増資する』『借入などで負債を増やす』の三つに大別できます。

負債を増やす方法の代表例が、金融機関からの融資です。出資を受けて増資する方法は、原則として株式の発行を必要とするため、法人に限った資金調達方法となります。

ほかにも、補助金や助成金を活用したり、クラウドファンディングを行ったりする方法があります。できるだけ多くの方法を理解しておけば、開業資金をより効率的に集められるでしょう。

 

資金調達の主な種類

資金調達の主な種類

 

代表的な資金調達方法としては、借入を行う方法と出資を受ける方法の二つが挙げられます。それぞれの特徴やメリットを確認しましょう。

 

借入による調達

資金調達方法の代表格である借入は、主に金融機関から融資を受けることを指します。

開業資金の借入をしやすい金融機関としては、『日本政策金融公庫』が挙げられます。原則として担保や保証人が不要のため、個人事業主や小規模法人でも利用しやすいでしょう。

自治体が窓口となり保証協会からの保証を受けられる、制度融資を活用するのも一つの方法です。

銀行や信用金庫などの民間金融機関も、開業資金の調達先として利用できます。ただし、開業時のような信用力が低い状態では、審査に通りにくいでしょう。

 

出資を集める

資金調達の種類には、株式を発行して出資を募る方法もあります。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受ける方法が代表例です。

株式を発行しなければならないため、法人のみ使える資金調達方法であることに注意しましょう。出資を受けて資本を増やす方法は、借入による調達と違い、返済義務がない点が特徴です。

ただし株主に対しては、出資するメリットをきちんと説明する必要があります。保有する株式が多い株主は、会社の経営に強い発言権を持つことも覚えておきましょう。

 

金融機関から融資を受ける

金融機関から融資を受ける

個人事業主にとって、一般的な民間金融機関からの融資を受けるのは難易度が高めです。日本政策金融公庫からの借入や制度融資など、公的な機関や制度を利用する方法なら、開業資金を調達しやすくなります。

 

日本政策金融公庫から借入

個人事業主でも開業資金を調達しやすい金融機関の一つが、政府全額出資の公的金融機関である日本政策金融公庫です。新しく事業を始める人や事業開始後7年以内の人なら、設備資金や運転資金の融資を受けられる『新規開業資金』を利用できます。

保証人や担保がなくても、融資を受けられる可能性があります。融資限度額が高額になりやすい点や、低金利で借入できる点もメリットです。

返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内に設定されています。一定の要件を満たしていれば、特別利率での融資を受けることが可能です。

新規開業資金|日本政策金融公庫

 

制度融資

開業のための資金調達方法としては、制度融資の活用もおすすめです。制度融資とは、民間金融機関・自治体・信用保証協会が連携して融資を行う制度を意味します。

制度融資では信用保証協会の保証を得られるため、通常の民間金融機関からの融資に比べ難易度が下がります。自治体から金利負担の軽減といった優遇を受けられる点もメリットです。

制度融資で用意されているさまざまな融資制度の中でも、『創業融資』は開業資金の調達におすすめです。制度融資の内容は自治体により異なるため、利用を検討する際は住んでいる自治体に相談してみましょう。

 

補助金・助成金の利用

補助金・助成金の利用

開業時に資金調達を行う場合は、補助金や助成金の利用も検討しましょう。返済義務がないため、資金繰りが厳しくなりがちな個人事業主にもおすすめです。

 

創業助成金

東京都が実施する起業者向けの助成金制度が創業助成金です。都内で起業予定の人や設立後5年未満の企業のうち、一定の要件を満たした場合に助成を受けられます。

助成の対象となる主な経費は、器具備品購入費・賃借料・広告費・人件費です。助成対象として認められる経費の2/3の範囲内で、100万円以上300万円以下の助成金が支給されます。

申し込みの際は、指定の創業支援事業を利用し、要件を満たしておく必要があります。支援事業の取り組みには、2カ月以上かかるのが一般的です。

創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度

 

小規模事業者持続化補助金

一定条件を満たした個人事業主や小規模法人に開業資金を支給する制度です。全国の商工会議所や商工会が窓口となって運営されています。

申し込み時点で既に開業していることや、従業員数が一定数以下であることなどが条件です。原則として、商工会議所や商工会に相談し、申請前に支援を受ける必要があります。

補助上限額は50万円ですが、一定の要件をクリアすれば上限額が100万円に増額されます。制度の内容は地域ごとに異なるため、住んでいる地域の商工会議所に問い合わせてみましょう。

小規模事業者持続化補助金 |東京商工会議所

 

地域中小企業応援ファンド

地域の伝統技術や農産物を活用した事業を行う個人・企業に対し、費用の一部を助成する制度が地域中小企業応援ファンドです。多くの都道府県で独自に実施されており、制度の名称や内容は都道府県ごとに異なります。

助成対象となる主な費用は、商品開発費・研究開発費・販路開拓費です。返済義務はなく、都道府県によっては複数年にわたり支給を受けられる場合もあります。

中小機構や都道府県から出資を受け、都道府県の中小企業支援機関が運営する制度です。地域への貢献度が高い新規事業に取り組む場合は、制度が利用できないかチェックしましょう。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)|中小機構

 

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法人が使える資金調達方法

個人事業主としてではなく、最初から会社を立ち上げたいと考えている場合は、株式を発行し出資を受けてお金を集める方法がおすすめです。スタートアップ企業向けの資金調達方法を紹介します。

 

ベンチャーキャピタル

将来性の高いベンチャー企業やスタートアップ企業に出資する会社がベンチャーキャピタル(VC)です。投資先の企業が上場した際に株式を売却し、値上がり益の獲得を目指します。

ベンチャーキャピタルは資金投下だけでなく、企業の価値向上を図るための経営支援も行います。ベンチャーキャピタルが抱える他の企業と、事業提携できる可能性がある点もメリットです。

ただし、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるためには、高い成長が予想される企業であることを認められなければなりません。審査は厳しくなるのが一般的です。

 

エンジェル投資家

設立して間もない企業に対し出資する個人投資家がエンジェル投資家です。資金不足に悩む起業家にとってはエンジェル(天使)のような存在であることから、このように呼ばれ始めたといわれています。

明確な審査基準を設けているベンチャーキャピタルと異なり、エンジェル投資家は自分が応援したい起業家に対して自由に出資します。

投資額は数百万~2000万円程度になるのが一般的です。ベンチャーキャピタルは、基本的に1億円以下の出資は行わないため、エンジェル投資家のほうが出資金額は少なくなります。

エンジェル投資家に対して税制優遇を行う『エンジェル税制』が導入されたことにより、エンジェル投資が少ない日本でも、今後は投資が活発化すると予想されています。

中小企業庁:エンジェル税制のご案内(令和2年3月31日以前の出資について)

 

その他の資金調達方法

その他の資金調達方法

開業資金を調達する方法には、借入や助成金・補助金以外にもさまざまな種類があります。個人事業主が利用しやすい主な方法を押さえておきましょう。

 

親族等から借りる

開業資金を親族や知人から借りられれば、金額や返済方法などに関して融通を利かせられるでしょう。金融機関のような審査がない点や、経営権を握られにくい点もメリットです。

一方、明確な取り決めを交わさないことが多いため、事業がうまくいかなかった際にトラブルに発展するおそれがあります。親しい間柄であっても、契約書を作っておくのがおすすめです。

起業に失敗するリスクを、親族や知人と共有することになる点も意識しておきましょう。いつまでも返済しない状態でいると、贈与とみなされて贈与税を課税される場合もあります。

 

クラウドファンディング

不特定多数の投資家から、インターネット上で出資を受ける資金調達方法がクラウドファンディングです。公開した事業内容に共感した投資家から資金を集められます。

出資者が商品などのリターンを受ける『購入型』や、金銭でのリターンを得られる『投資型』、社会貢献を目的とする『寄付型』などの種類があります。

事業内容が魅力的なものであれば、多額の資金提供を受けられる可能性があることがメリットです。一方、管理コストが大きくなりやすく、資金調達までの時間もある程度かかります。

 

ビジネスローン

ビジネスローンとは、開業時の設備資金や運転資金として使えるローンです。一般的なカードローンは事業に使えませんが、ビジネスローンは事業資金として利用することが目的となっています。

ビジネスローンは多くの金融機関で取り扱われています。事業に必要な費用をまかなう目的であれば、原則として使途は問われません。

金融機関によっては、個人事業主向けのビジネスローンを用意しているケースもあります。担保・保証人が不要であることや、開業直後でも申し込みできることが特徴です。

 

開業時に借入を行う際の注意点

開業時に借入を行う際の注意点

個人事業主が事業を始めたばかりの時期に借入を申し込む際は、以下に挙げるポイントを意識しましょう。注意点を押さえておけば、無駄なコストを費やさずに済みます。

 

銀行融資はハードルが高い

開業時に銀行融資を申し込む場合、取り組む事業分野に対して過去の実績があるかどうかをチェックされます。事業内容が初めて挑戦する分野なら実績不足と判断されるため、審査に通りにくくなるでしょう。

実績が乏しい分野の事業に取り組む場合は、一緒に事業を行う人の経験をアピールするなどの工夫が必要です。

個人事業主にとって銀行融資はハードルがかなり高いため、最初は公的融資に申し込むのがおすすめです。融資や事業の実績を積んだ後、銀行融資を視野に入れましょう。

 

低金利で借りる

資金調達を行える借入先には数多くの種類があり、借入時に適用される金利にも幅があります。高金利で借りると返済負担が重くのしかかるため、できるだけ低金利で借りるのがポイントです。

基本的には、融資条件がゆるくなるほど金利も高くなります。借りやすさと金利のバランスを考慮し、借入先を選ぶことが大切です。

金融機関から借入を行う場合、企業努力で金利を下げられる可能性があります。資金繰り表や経営計画書を作成するなど、事業の将来を見通せている点をアピールすることが重要です。

 

返済計画を考えて借入を

借入による資金調達では、返済義務が発生します。借入を検討する際は、資金繰りに困ることがないよう、あらかじめきちんと返済計画を立てておくことが大事です。

返済計画を立てる際に重視する主なポイントは、『完済までの期間』『毎月の返済額』『金利』です。返済開始時期をいつにするのかも重要といえます。

返済開始のタイミングを後ろに延ばせるなら、それまでに資金を蓄えられます。開始後のキャッシュフローが楽になるのは魅力です。一方、借入後すぐに返済を開始する場合は、早い段階で返済を終わらせられるというメリットがあります。

 

まとめ

開業する際には、設備資金や当面の運転資金が必要です。自己資金が足りない場合は、資金調達により開業資金を集められます。

借入による調達なら、日本政策金融公庫や制度融資の利用がおすすめです。補助金・助成金制度などの方法も検討し、自分に合った手段で効率的に資金調達を行いましょう。

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