フリーランスが法人化するメリット、デメリット。手続き方法も紹介

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フリーランスが法人化するメリット、デメリット。手続き方法も紹介

フリーランスが法人化すると、節税できるだけでなく社会的信用度が高まり事業運営に有利に働きます。一方コストや事務作業が増加するため、法人化した方が得だと判断できるタイミングを見極めましょう。法人化のメリット・デメリットと手続きを解説します。

※記事は2021年10月現在の情報になります。

甲田拓也
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

 

フリーランスと法人の違いとは?

フリーランスと法人の違いとは?

事業が順調に成長しているフリーランスの中には、法人化を視野に入れている人もいるでしょう。まずは、フリーランスと法人の違いについてきちんと整理しておくことが必要です。

フリーランスと法人にはどういった違いがあるのか押さえておきましょう。

フリーランスとは

『フリーランス』は、企業や組織などの団体に入ることなく個人で仕事を行う働き方を指します。企業内で仕事を行うケースもありますが、雇用契約を結ぶのではなく、発注された仕事を請け負う業務委託の形をとっている場合が多いでしょう。

『個人事業主』とフリーランスは同じような意味で捉えられることもあります。

しかし、フリーランスはあくまで個人で仕事を請け負う働き方をしている人のことを全般的に指します。個人事業主は税務署に開業届を提出し、個人で事業運営を行う人のことです。

法人とは

『法人』は、人と同じように法的に権利・義務が定められている団体を指します。経営者個人とは切り離して考えられ、法律上の人格が認められているのです。

法人はしばしば『企業』と混同されることがありますが、厳密には定義が異なります。企業は利益を追求することを目的に、継続した経済活動を行う組織のことを指し、法人であるか否かは関係ありません。企業は法人よりも広い範囲を含むのです。

さらに似た意味を持つ『会社』は、会社法に基づいて設立された法人を指す言葉であり、株式会社や合同会社などが挙げられます。

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フリーランスが法人化するメリット

フリーランスが法人化するメリット

フリーランスで働く人が法人化すると、税金面での負担軽減以外にも、事業運営がスムーズになる効果が期待できます。フリーランスが法人化することで生じる、代表的なメリットを確認しましょう。

節税ができる

フリーランスが法人化することで得られる大きなメリットの一つが節税効果です。

フリーランスで働く個人または個人事業主は、所得が多いほど税率が上がる累進課税の所得税が課されるため、所得が増えれば増えるほど税金が高くなります。

一方、法人は所得税ではなく法人税を支払います。法人税の税率は年800万円を境に2種類だけのため、所得が増えるほど税率が上がり続けるわけではありません。つまり所得額によっては、フリーランスよりも法人の方が税金を安く抑えられます。

同じ所得であっても、フリーランスより法人の方が課される税率が低いのであれば、法人化するのに適したタイミングといえるでしょう。

社会的信用度が上がる

フリーランスは社会的信用度が低く、取引相手との交渉や銀行融資・クレジットカードの審査に通らない場合がしばしばあります。そのため、より事業を大きくし、ビジネスをスムーズに進めたい場合は法人化するとよいでしょう。

法人化することで社会的信用度が高まり、取引できる企業の幅が増えたり、金融機関の審査に通りやすくなったりします。事業が拡大するほど取引規模や融資額は大きくなり、同時に社会的信用も求められるようになるものです。

事業を拡大し、さらに大きな取引をしたいと考えるフリーランスは、法人化を視野に入れるとよいでしょう。

事業の継続がスムーズに

法人化すると、フリーランスの場合よりも事業の継続がスムーズになります。

フリーランスの事業は個人のものであり、本人が引退したり、万が一死亡したりした際には、事業はいったん終了となり、相続人が事業承継すれば事業開始という形になります。事業承継が行われなければ廃業です。

一方、法人は経営者個人とは別の人格が認められているため、もし経営者に何かがあったとしても、会社の代表者を変更するだけで事業の継続が可能となります。

さらに個人事業とは異なり、経営者が死亡しても事業用の銀行口座が凍結されることもなく、手続き面でも資金繰り面でもリスクが少ないといえます。

フリーランスが法人化するデメリット

フリーランスが法人化するデメリット

フリーランスが法人化することで事業運営に有利に働くのは確かです。しかし法人化することで、フリーランスの際には必要なかったコストや負担が発生する点も忘れてはなりません。

フリーランスが法人化するデメリットについて押さえておきましょう。

コストがかかる

フリーランスが法人化する際には、法人設立に伴うさまざまな手続きと費用が発生することを知っておきましょう。会社設立に必要な資本金自体は1円でも問題ありません。

登記にあたり、公証人認定手数料5万円(合同会社の場合は不要)、定款印紙代4万円(電子定款の場合は不要)、謄本交付手数料が2,000円前後(1枚につき250円)、法人用印鑑の購入で1万円前後の費用が発生します。

さらに、株式会社の場合は登録免許税が最低15万円、合同会社なら最低6万円かかります。

また、法人化するとたとえ経営者1人で運営する場合であっても、社会保険への加入が義務となります。さらに、フリーランスのときと違い、赤字であっても法人住民税が発生する点にも注意が必要です。

煩雑な事務作業が発生する

法人化すると、フリーランスのときよりも複雑な事務作業が増えます。

会計処理や決算の際は、法人に課せられた法律やルールにのっとって手続きを行わなければなりません。コストはかかるものの、専門知識のある税理士や公認会計士への委託がおすすめです。

さらに、社会保険の手続きなど法人になることで新たに発生する事務作業に対応するため、自分だけでは手が回らなくなることが予想されます。経理担当者や事務担当者を雇う必要があるでしょう。

フリーランスが法人化するタイミング

フリーランスが法人化するタイミング

フリーランスが法人化する際には、フリーランスでいるよりも法人化した方が得であると判断できるタイミングを見極めることが大切です。フリーランスが法人化するタイミングの目安を解説します。

法人化する年収の目安を知ろう

法人化する際には、フリーランスの所得税と法人の法人税の差が一つの目安です。

フリーランスと法人では、同じ所得であっても税率が異なります。例えばフリーランスの場合の所得税は、所得が695万円超900万円以下なら23%、900万円超1,800万円以下で33%の課税率です。

法人には法人税・法人事業税・法人住民税が課されます。これらを合算した税率は所得400万円までは約22%、400万円超800万円以下は約25%、800万円超は約35%です。ただし、住民税の税率は自治体によって異なるため、あくまで目安と考えましょう。

所得の少ないうちはフリーランスの方が税額が安いですが、所得が600万〜800万円になるタイミングは、法人化を検討する目安といえます。

事業を拡大したい局面

事業をより拡大したいと考えるタイミングも、フリーランスが法人化を検討するのに適しているといえるでしょう。

フリーランスから法人になることで社会的信用が高まり、金融機関からより高額の出資を受けられる可能性が出てきたり、大手企業による大規模な案件に携わる機会を増やせたりするでしょう。

また、フリーランスよりも法人の方が人材を集めやすいというメリットもあります。社会保険に加入していることで、従業員は安心して働けます。事業を大きくするために人を雇用したいと思うなら、法人化してもよいでしょう。

フリーランスが法人化する方法

フリーランスが法人化する方法

フリーランスから法人化することを決めたら、具体的にどのような手続きを踏めばよいか確認しておきましょう。準備すべき書類などが多いため、申請にあたりどこに何を提出すればいいか事前に把握していれば、スムーズに行動できます。

事前準備や必要書類

法人設立のために具体的にどんな準備が必要なのか把握しておきましょう。まず、法人のルールをまとめた定款を作成します。決まった形式はないものの、商号や目的、本店所在地、発起人の氏名・住所、資本金などは必須項目です。

株式会社の場合、定款は公証役場に提出して認証を受ける必要があります。また、認証完了後は用意した資本金を口座に振り込むことも必要です。

加えて、法人設立の発起人全員の印鑑証明と法人の印鑑も準備しておきましょう。

法務局で設立登記の申請

定款や印鑑証明など必要書類を一通り準備したら、法務局で設立登記の申請を行います。指摘事項があれば修正が必要です。問題なく申請が通れば登記は完了し、登記事項証明書が交付されます。

登記完了後は、税金や社会保険の手続きを進めていく必要があります。税金については、フリーランスとして行っていた事業を廃業扱いとし、法人設立届出書を提出しましょう。社会保険の手続きは年金事務所で行います。

さらに、フリーランスとして活動していたときに取引していたクライアントに対しては、法人化したことを早めにお知らせするようにしましょう。

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まとめ

フリーランスが法人化することで、節税効果や社会的信用度の向上が期待できるでしょう。一方で、フリーランスのときには発生しなかったコストや事務手続きが必要になります。

法人化することで得られるメリットとデメリットを比較したうえで、得の方が多いと判断できるなら、法人化を検討しましょう。所得が一定額を超えるか、事業拡大したい局面が法人化のタイミングです。

法人化の手続きの流れも把握し、最適のタイミングで法人化できるように準備しておきましょう。

 

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