個人事業主ができる節税対策。経費化の方法や青色申告などを紹介

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個人事業主ができる節税対策。経費化の方法や青色申告などを紹介

個人事業主の節税対策は、必要経費の計上や青色申告の特別控除を受けるのが基本です。さらにiDeCoやNISA、ふるさと納税など、節税に対する知識を多く身につけると有益でしょう。個人事業主に課される税金と節税時の注意点、青色申告の方法を解説します。

個人事業主が支払う税金

個人事業主が支払う税金

(出典) pexels.com

納税は法律で定められた義務とはいえ、経済的な負担になります。支払う税金が高額になると事業運営にも少なからずダメージを与えるでしょう。そのため、「できれば節税したい」と思う人も多いのではないでしょうか。節税について知る前に、そもそも個人事業主はどんな税金を支払わなければならないのか、ここで整理しておきましょう。

所得税

個人事業主が支払う税金の一つであり、特に大きな負担となりやすいのが所得税です。所得税の特徴として、所得が大きくなればなるほど、課される税率も大きくなる『累進課税』を採用している点が挙げられます。所得税は国税であり、個人事業主は原則、毎年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。これにより1年間の所得を申告することで、税額が決定する仕組みです。

個人事業税

個人事業税は、事業で発生した所得が290万円を超えた場合に課せられます。所得税は、青色申告特別控除を差し引いた後の所得に対して課せられますが、個人事業税は青色申告控除前の事業所得に対して課せられる点に注意が必要です。

個人事業税は業種によって税率が決められており、事業内容によっては個人事業税が課せられないケースもあります。また個人事業税は経費処理できる点も、ほかの税金と異なる点です。個人事業税は事業所がある都道府県に対して、8月と11月の年2回納付します。

消費税

消費税は、前々年度の売上が1000万円を超える場合に発生する税金です。例外として、たとえ開業してから2年を経ていない事業者であっても、前年の1月1日から6月30日までの売上高もしくは人件費が1000万円を超えている場合等は消費税の支払いが必要になることもあるので留意が必要です。

消費税の納税額は自分で計算して申告しなければなりません。また、消費税の納付義務のある事業者になったら、『消費税及び地方消費税の確定申告書』を税務署に提出して手続きを行う必要があります。

住民税

住民税は、自分が住んでいる地方自治体に支払う税金です。都道府県民税(都民税)と市町村民税(特別区民税)の2種類あり、前年度の所得に応じた税額が課せられます。住民税は、確定申告の情報を各自治体が確認し税額を計算するため、個人事業主自身が手続きを行う必要は特にありません。

自分の住民税は、市区町村から送付される通知書によって確認でき、同封されている納付書で支払います。一括払いのほか、年4回に分割して支払う方法も選べる点が特徴です。

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納税額を計算する方法

納税額を計算する方法
(出典) pexels.com

事業が大きくなるほど全体の納税額は大きくなり、経済状況を圧迫することが多くあります。あらかじめ納税額が分かっていれば、事前に税金支払いのための資金を準備できるため安心です。

ここでは、所得税と住民税の納税額を算出するための計算法を解説します。

所得税額の計算方法

所得税を算出するには、まず課税される所得金額を算出することが必要です。事業運営によって得られた『収入』から、事業に使った『経費』を引き、そこから医療費控除や青色申告特別控除などの控除を引くことで『所得』金額が算出できます。

算出された金額に所得金額に応じた税率を掛け、税額控除額を差し引けば、所得金額の算出は完了します。計算式にすると以下の通りです。

  • 所得税額=(収入-経費-所得控除)×税率-税額控除額

所得税の税率と課税控除額は所得に応じて決められており、所得が大きくなればなるほど税率も控除額も大きくなる仕組みです。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

 

住民税の計算方法

個人事業主が支払う住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた金額であり、所得によって課税される『所得割』と、定額で課税される『均等割』の二つで構成されています。所得割は課税所得金額に対して決まった税率を掛けて算出します。原則、都道府県民税は4%、市区町村民税は6%で、所得割の税額の計算式は以下の通りです。

  • 所得割=(所得金額-所得控除)×税率-税額控除額

税額控除額とは、算出した税額から差し引かれる控除であり、ここには住宅ローン控除やふるさと納税などが含まれます。

均等割の税額は、都道府県民税1000円、市区町村民税は3000円であることが多いですが、2014年から23年までは復興特別税として、それぞれ500円ずつ加算されるため注意しましょう。また、自治体によっては独自の税額を定めているところもあります。

個人事業主ができるおすすめの節税対策

個人事業主ができるおすすめ節税対策

(出典) pexels.com

個人事業主として支払う必要のある税金を把握できれば、どの部分で節税ができるのかが大まかに見えてきます。個人事業主ができる節税対策としておすすめのものを、五つチェックしておきましょう。

事業の出費を経費に計上

個人事業主の節税対策の基本は、事業に関する出費をもれなく経費に計上して、最終的に課税される所得金額を減らすことです。仕事で使う事務用品や取引先・従業員との打ち合わせ時の飲食代、営業活動時の交通費など、事業に関わる出費は、小さな金額でもコツコツ丁寧に計上しましょう。

また、仕事とプライベートの要素が混在している出費は家事按分を忘れず、適切な割合を経費計上することも大切です。

さらに、一見経費にできないように思える税金の中にも、経費になるものもあります。個人事業税や消費税、自動車税、登録免許税、印紙税などが経費計上が可能な税金です。計上し損ねている経費がないか、再確認してみましょう。

青色申告をして特別控除を受ける

確定申告にあたり青色申告を行うことは、節税対策の基本中の基本といえます。確定申告には白色申告と青色申告がありますが、青色申告は少々複雑な複式簿記での記帳を行う代わりに、最大65万円の特別控除が受けられるのです。

65万円の特別控除を受けたい場合、2020年度確定申告分からはe-Taxでの申告か電子帳簿保存を行う必要があります。e-Taxなどを行わない場合の特別控除額は55万円です。基礎控除の48万円と合わせると、100万円以上も課税所得金額を減らせるのが青色申告のメリットといえます。白色申告は青色申告のような特別控除がないため、節税の差は歴然でしょう。

iDeCoやNISAを活用

個人事業主にとって大きなメリットとなるのが、iDeCoやNISAの活用です。iDeCoは『個人型確定拠出年金』のことで、その名の通り、個人が自分で年金を積み立てる仕組みとなっています。

積立の掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減につながります。さらに、投資信託で利益を生んでも、その利益は非課税です。将来の備えになる上、節税もできる大変お得な制度といえるでしょう。

対するNISAは『少額投資非課税制度』と呼ばれ、iDeCoと同じく投資によって生じた利益は課税されません。投資元本が所得控除の対象にならない点はiDeCoと異なるものの、iDeCoが自由にお金を引き出せない一方、NISAにはいつでも引き出せるというメリットがあります。

NISAにはまた、少額からの長期・積立・分散投資ができる、初心者向けの『つみたてNISA』もあります。ただしNISAとつみたてNISAは、どちらか一方しか選べません。

節税し将来に備えて貯蓄したいならiDeCo、投資に特化するならNISAがおすすめです。

小規模企業共済に加入

小規模企業共済は、事業主が将来事業を辞めた場合に受け取れる資金であり、いわば自分で作る退職金のような制度です。毎月1000円から7万円までの範囲で掛け金を支払い、支払額全額を『小規模企業共済等掛金控除』により所得控除できます。

6カ月以上積み立てれば共済金の受け取り資格が生まれ、受け取り方法も一括、分割、もしくは一括・分割の併用を選べるなど、柔軟な制度です。

上限の月7万円の掛け金を支払うケースであれば、1年間で84万円の所得控除を受けられます。さらに、向こう1年以内の掛け金を前納した場合、実際に支払った年の所得控除とすることができるため、所得が多い年に適用すれば大きな節税につながるのです。

ふるさと納税を行う

ふるさと納税は、自分で好きな自治体を選んで寄附を行い、寄附先から返礼品としてさまざまな特産品などを受け取れる制度です。確定申告をすることで、寄附したお金は『寄附金控除』の対象となり、所得税が還付されたり、翌年の住民税から控除されたりします。

ただし、際限なく寄附できるわけではなく、総所得金額の40%が控除の上限となっている点に注意しましょう。ふるさと納税は、節税できる上に各地方の特産品を楽しめるという、とてもお得な制度といえます。

節税につながる青色申告をする方法

節税につながらる青色申告をする方法

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個人事業主が節税をする際の基本ともいえるのが、青色申告です。とはいえ、青色申告は事前の届け出や帳簿の付け方などが決まっており、きちんと手順を把握しておく必要があります。青色申告をする場合、申請から実際の申告までどんな流れで進めればよいのでしょうか。確定申告時に何が必要なのかについても解説します。

青色申告の流れ

青色申告する場合には、開業から2カ月以内に管轄の税務署に対して『所得税の青色申告承認申請書』を提出します。その際、開業を知らせる『個人事業の開業・廃業届出書』の提出も忘れないようにしましょう。

もし青色申告承認申請書の提出期限を過ぎてしまった場合には白色申告となりますが、青色申告したい年の3月15日までに提出すれば、切り替えも可能です。申請書提出後は、青色申告の条件である複式簿記による記帳で、日々の収入や経費を記録しましょう。なお65万円の特別控除を目指すなら、マイナンバーカードと、IC カードリーダライタかスマートフォンを用意し、e-Taxでの申告が必要です。

電子帳簿保存を行う場合は、『帳簿の備付けを開始する日の3カ月前まで』に申請書を税務署に提出する必要があります。

青色申告に必要な書類

確定申告の時期を迎え、青色申告を行う際には、確定申告書Bと帳簿の内容を記入した青色申告決算書が必要となります。確定申告書にはAとBがあり、個人事業主に必要なのはBの方です。

もし節税対策のために控除を受けたい場合は、必要に応じた各種控除証明書を添付する必要があります。領収書や請求書などの添付は不要ですが、税務署の調査があった場合のため、7年間保存しておく義務がある点に注意です。

個人事業主が節税をする際の注意点

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個人事業主は収入が不安定になりやすく、できる限り節税したいというのが本音ではないでしょうか。しかし誤った節税方法でトラブルが起きたり、享受している控除を失ったりするケースもあるため、正しい知識を身につけておきましょう。

個人事業主が節税をする際の注意点を解説します。

経費が多すぎると税務調査の対象になりやすい

個人事業主が節税をするための近道は、事業に使った経費をもれなく計上して課税される所得を小さくすることです。しかし、あまりに経費が多くなると、税務署から不審に思われて税務調査の対象になる場合があります。

業種や事業内容によって違いはあるものの、ある程度妥当とされる経費割合があり、フリーランスは経費率が60%を超過すると調査対象となる可能性が高まるといわれています。

売上を小さく申告している、経費を水増ししている、個人的な消費まで経費扱いしている、といった疑いをかけられてしまうため注意しましょう。

不正のない会計を行うのは当然のことですが、加えて証拠となる領収書や請求書の保管や、事業内容的に売上規模・経費率が高くなりがちな仕事をしている場合は、税理士に依頼するなどの対策をおすすめします。

開業届を提出すると扶養から外れることも

現在主婦・主夫をしている人や、親族の扶養に入っている人が開業届を提出すると、扶養から外れるケースがあるため注意しましょう。扶養に入っていることによって免除されている社会保険料の支払いが発生する可能性があります。

扶養主の健康保険組合により、扶養から外れる条件が決まっているため、あらかじめ確認しておきましょう。

開業して個人事業主となった場合にいくらの所得が予想されるか、扶養から外れることを考慮してもプラスのお金が見込めるか、という点を検討する必要があります。

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収入次第で法人化も検討を

収支次第で法人化も検討を

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最初のうちは個人事業主として事業運営をしていても、事業が大きくなり収入および利益が膨らんでいけば、法人化も視野に入れることをおすすめします。個人事業主と法人では、同じ利益を出していても税金の額が変わってくるのです。

法人化のタイミングはいつがよいのでしょうか?

法人化を検討するタイミングは?

個人事業主が支払う税金のうち、所得税は累進課税を採用しているため、所得が大きくなるほど税金が高くなります。

どのタイミングで法人化を検討するべきかは、さまざまな意見があります。一般的には500万~800万円位が一つの目安となるようです。

法人化をいつするのかは、自身の事業の状況や住んでいる地域の住民税額によっても変わってきます。判断に迷うようなら、税理士への相談がおすすめです。

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まとめ

個人事業主が支払う税金は所得税・事業税・消費税・住民税ですが、節税対策をすることによって税額を低く抑えることができます。特に青色申告による節税は個人事業主にとって基本です。

ただし、過度な節税は税務調査対象になりやすいため気を付けましょう。また開業して個人事業主となることで、扶養から外れ、かえって損をする可能性もある点も覚えておく必要があります。

個人事業主として活動するなら、節税対策について正しい知識を身につけ、上手に事業運営しましょう。

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