中小企業ができる税務調査の対策は?調査されやすい企業の特徴と指摘されるポイント
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中小企業の経営者にとって、「税務調査」は非常に不安になる言葉ではないでしょうか。対策や準備ができていないと、思わぬトラブルに発展することもあるかもしれません。
早いうちから税務調査について理解を深め、できる対策を進めておくことが大切です。
本記事では中小企業が税務調査に備えるための対策や、税務調査が始まったあとの対応策、税務調査がされやすい中小企業の特徴などを解説します。
中小企業が税務調査に備えるためにできる対策

中小企業の経営者が初めて税務調査に対応すると緊張するものですが、落ち着いて対処すれば問題なく税務調査が終わることも多くあります。
ここでは、中小企業が税務調査のために備えた対策として、以下の3つを解説します。
定期的に内部監査をおこなう
税務調査はいつくるかわからないため、いつ来ても指摘されないように内部監査をおこないましょう。
経費の金額は適正なのか、税務申告書の内容に間違いはないかといった内容を監査で確認していくと、税務調査時でも自信を持って対応できるでしょう。
帳簿や書類を整理する
税務調査に対策する基本は、企業内の帳簿や書類を整理することです。以下のような資料を日頃から整理すると、いざ税務調査が来たときにもスムーズな対応が可能になります。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 請求書
- 領収書
- 契約書
- 電子データ など
委託費や外注費を適切に処理する
企業が事業を運営するときに外部に支払う委託費や外注費ですが、税務調査でも重点的に調べられる可能性があります。
不適切な処理にならないよう、契約書の作成や領収書・請求書の保存は正確におこないましょう。
税務調査が始まったあとの企業の対応策

対策が終わる前に、税務調査の連絡が入ることもあるかもしれません。
ここでは、税務調査が始まったあとの企業の対応策について解説します。万が一の際も慌てず、顧問税理士と連携して対処しましょう。
顧問税理士と今後の打ち合わせをする
税務調査が実施されることが決まったら、すぐに顧問税理士と打ち合わせを始めましょう。
税務調査では顧問税理士に事前通知と希望日時が伝えられるため、調査当日の手順や調査官への対応方法など、必要な話し合いをしておくことが重要です。
また、顧問税理士には、当日の立ち会いをしてもらえるように、早いうちから約束を取り付けることも大切です。
顧問税理士がいなくても税務調査の対応は不可能ではありませんが、税法を知り尽くした税務署の主張に代表者本人が対応するのは難しいためです。
税務署の指摘に対して誰がどの返答を担当するかも決めておくべきでしょう。
必要書類を準備する
税務調査が決まったら、当日に提出を求められる書類を準備しておきましょう。
前もって準備が必要な書類には以下のようなものがあります。
- 会社の概要や組織図
- 決算書類
- 法人税や確定申告の書類
- 棚卸表
- 元帳などの帳簿
- 見積書・納品書
- 経費に関する領収書 など
聞かれたことには正直に答える
税務調査が始まったあとは、聞かれたことには正直に答えましょう。税務調査では細部にわたって調査がおこなわれ、疑問点や不審な点は相談を受けることになります。
ただ、回答すべき内容がわからない方もいるでしょう。そんなときは無理にその場で回答せず、顧問税理士に確認しながら正しい答えを正確に回答しましょう。
税務調査とは

税務調査は国税局や税務署が、納税者の申告した内容を調査する手続きのことです。調査の結果、もし誤りがあれば納税者は修正をおこなうことになります。
税務調査が必要な理由は、日本の税制は納税者自身が計算をして納付する仕組みであるためです。申告の過程で誤った計算や虚偽の申告がおこなわれる可能性があることから、不正の発見や正確な申告を促進させるために税務調査がおこなわれます。
また、ひとくちに税務調査といっても以下の2種類があります。
1.任意調査
任意調査は、一般的な中小企業の多くで実施される税務調査です。任意調査は税法にある「質問検査権」にもとづいて税務署によっておこなわれ、税務署の調査官から「帳簿を見せてほしい」と依頼する形でおこなわれます。
ただ、任意といっても調査対象になれば協力する必要があります。税務署の調査官が持つ、質問検査権に、納税者は黙秘権を行使できないためです。
また、任意調査は以下のように、さらに細かく調査の方法がわかれています。
- 実地調査:実際に会社や店舗に調査官が訪れる
- 準備調査:税務署内で調査がおこなわれる
- 外観調査:営業実態や不動産を確認する
2.強制調査
強制調査は、国税局によって強制的におこなわれる税務調査です。任意調査と違って予告がなく、会社や経営者の自宅などが一斉に調査されることになります。
悪質な脱税や所得隠しをしていると判断された場合におこなわれ、問答無用で証拠品が押収されることになります。
仮に強制調査で脱税が発覚した場合は刑事事件となります。
税務調査を受けやすい中小企業の特徴

税務調査がおこなわれる企業はランダムで決まるため、「絶対に調査される」と決まったわけではありません。
ただ、税務調査の対象になりやすい中小企業というものはあります。
ここでは、税務調査がおこなわれやすい中小企業の特徴として、代表的なものを4つ紹介します。
過去に不正が多い業種に属している
過去に不正が多かった業種に属する企業は、税務調査の対象になりやすいとされます。業種全体として不正が多い場合、自社がいかにクリーンにしていても税務署に目をつけられる可能性があるでしょう。
例えば「風営業」など現金を多く取り扱う業種の企業の場合、税務調査の対象になりやすいと思っていたほうが良いでしょう。
SNSで悪目立ちする行動をしている
SNSで目立っている企業の場合、税務調査の可能性が高まることも考えられます。
例えば会社の業績が良いからといって、高級車や高級腕時計を自慢げに購入する動画を公開してしまうと、税務署から税務調査のターゲットにされることも考えられます。
SNSは税務署も目を光らせていることを前提に、お金に関する投稿はとくに慎重にするようにしましょう。
急速に売上が伸びている
会社の売上が急速に伸びている場合、税務調査の対象になりやすいとされます。とくに、短期間で会社の利益が急激に伸びた場合は要注意です。
会社の売上が大きくなるとその分だけ税金も増えるため、税務調査官の目にとまりやすくなるとされています。
過少申告などを疑われて調査対象になる可能性があります。
同業他社よりも所得率が低くなっている
同業他社と比較して所得率が低い場合、税務調査の対象になりやすいとされます。
理由は「利益をごまかしている可能性がある」と調査官が感じるためです。
結果として同業他社よりも所得率が低くなってしまった場合は、なぜ低くなってしまったかを説明できるようにしておきましょう。
中小企業が税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査の際、過去の経理や会計に問題があると指摘を受けることになります。事前に「指摘されやすいポイント」を把握して、対策を進めておくことが大切です。
ここでは中小企業が税務調査で指摘されやすいポイントを解説します。
売上の計上漏れがないか
もっとも多く税務調査で指摘をされる項目の1つが「計上漏れ」です。
なかでも「現金取引」が多い場合は計上ミスが疑われる可能性があります。複数の口座を使用した場合には注意しましょう。
経費の計上が不正確ではないか
企業活動のなかで使ったお金(経費)についても、税務調査では念入りに調査がおこなわれます。
交際費や外注費などの計上が不正確だと、追徴課税がおこなわれる可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
税務調査は、初めて対応する中小企業の経営者にとっては非常に難しく感じるものですが、乗り切るための対策はあります。特に顧問税理士は心強い味方になるため、万が一に備えて普段から相談を重ねておくと安心でしょう。
普段から売上の計上漏れや経費の計上に間違いや不正がないか、内部監査を通じて状況を把握しておくことも重要です。
顧問税理士と連携し、税務調査を乗り切れるように事前に対策を進めましょう。
監修者
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中! |






