青色申告とは?個人事業主が知るべきメリットと手続きを解説

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青色申告とは?個人事業主が知るべきメリットと手続き解説


青色申告は控除額の大きさなどの節税効果から、多くの個人事業主が実施しています。白色申告に比べて複雑な複式簿記での記帳が必要ですが、その分、事業運営に大きなメリットがあるのです。青色申告の特徴と手続き、記帳を効率化する方法を解説します。

青色申告とは

青色申告とは

(出典) pexels.com

確定申告の時期になると、青色申告や白色申告といったワードを頻繁に耳にするようになります。個人事業主の多くが青色申告を採用していますが、そもそも青色申告とは何なのでしょうか。正しい知識を押さえておきましょう。

確定申告の申告制度の一つ

『青色申告』とは、確定申告における申告制度の一つです。申告制度には青色申告と白色申告の二つがあり、帳簿の付け方や提出書類の種類に違いがあります。

青色申告を行いたい場合は、あらかじめ『青色申告承認申請書』を税務署に提出し、承認を受ける必要があります。

青色申告をすることで白色申告にはない税金面での特典を享受できるため、多くの個人事業主が青色申告を選択しています。

対象の所得は3種類

所得税法では10種類の所得区分が定められていますが、青色申告ではそのうちの『事業所得』『不動産所得』『山林所得』が対象です。

不動産所得は、アパート経営や駐車場収入など不動産の賃貸により発生した所得、山林所得は山林の伐採や立ち木を譲渡したことで発生した所得です。山ごと山林を譲渡した場合、土地の部分に関しては譲渡所得となります。

事業所得は、独立した事業を行うことで発生した所得であり、不動産所得・山林所得を除外した所得です。

残りの七つの、給与所得・退職所得・譲渡所得・利子所得・配当所得・一時所得・雑所得については、青色申告はできません。

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白色申告との違い

白色申告との違い

(出典) pexels.com

確定申告制度には青色申告と白色申告の二つがありますが、一般的によく使われている青色申告に比べ、白色申告についてはあまり話題になりません。

青色申告とはどんなものなのか、白色申告と比較しながら確認しましょう。

白色申告とは

白色申告は青色申告と同様、確定申告の形式の一つですが、青色申告と違って事前申請が不要です。青色申告の申請をしていなければ、自動的に白色申告となります。

青色申告が複式簿記による帳簿を付ける必要があるのに対し、簡単な記帳で済む『収支内訳書』を提出するだけでよい点もメリットです。

手間が少なくて済むため、ほとんど利益が出ていない事業主であれば白色申告でもよいかもしれません。

特別控除額の差

白色申告よりも青色申告の方が選ばれている大きな理由の一つが、特別控除額の差です。白色申告には特別控除がないのに対して、青色申告は最大で65万円の特別控除が受けられます。

つまり、1年間の事業所得から65万円を差し引き所得を小さくすることで、所得税を抑えることができるのです。

ただし、青色申告の65万円控除には、『e -Tax による申告』または『電子帳簿保存』が条件となっており、単に複式簿記で帳簿を付けただけでは控除額は55万円に留まります。

また、青色申告特別控除(55万円)には要件がありますがその要件を満たせなかった場合は、青色申告特別控除額が10万円となるため注意しましょう。

青色申告は節税の幅が大きい

青色申告は白色申告と比べて節税の幅が大きい点が特徴です。

通常、事業に必要な高額な商品を購入したとき、10万円未満の資産であれば一括で経費として計上できます。しかし、10万円以上のものは、原則、耐用年数に応じて毎年減価償却しなければなりません。

しかし青色申告の場合は、2022年3月31日まで(※2021年6月現在の税制)に購入した30万円未満のものなら、一括でその年の経費に計上できるのです。大幅な黒字となった年に一括で経費にできれば、所得が抑えられるため税金が跳ね上がることを防げます。

白色と青色の記帳方法の違い

白色申告と青色申告の違いは帳簿の付け方です。白色申告は比較的簡易な方法で記帳するため簡単です。お小遣い帳の延長で付けられるといってもよいでしょう。

青色申告で記帳する『複式簿記』は、取引を『借方』『貸方』の二つの科目に分けて記録を行います。勘定科目が多い上に複雑なため、会計に対する最低限の知識が必要です。会計ソフトを導入しなければ、複式簿記を付けるのは難易度が高いでしょう。

青色申告をするメリット

青色申告をするメリット

(出典) pexels.com

白色申告と青色申告の相違点が分かりました。それでは個人事業主にとって、青色申告にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

青色申告での確定申告を検討している人のために、青色申告によって享受できる具体的なメリットについて詳しく解説します。

赤字を繰り越せる

個人事業主にとって大きなメリットなのが『繰越損失』です。これは、赤字を出した年は翌年以降にその赤字を繰り越せるという制度で、最大3年間は繰り越しが可能となります。

開業初年度や、事業拡大のために大型の設備投資を行った年などは、赤字を出してしまうこともあるでしょう。翌年以降に黒字となった際、過去の赤字を繰り越すことでその年の所得を縮小し、税額を抑えられるのです。

収入に波のある個人事業主にとって、赤字と黒字を相殺できる繰越損失の制度は事業の安定に役立ちます。

家族への給与を経費にできる

家族を従業員として給与を支払っている場合、青色申告をしていれば『青色事業専従者給与』として、給与を全額経費計上することが可能です。

小規模で事業を行っている個人事業主は、家族の助けを借りて事業を運営しているケースも多いため、家族への給与を経費にできるのであれば、大きな節税効果が見込めるでしょう。

ただし専従者給与の対象となるのは、青色申告をする事業主本人と生計を共にし、その年を通じて6カ月以上仕事に従事している配偶者や親族だけです。

さらに、15歳未満の人物は当てはまらないため、自分の子どもや弟・妹の手伝いを受けているという場合は注意しましょう。

また、青色事業専従者給与として認められるためには、『青色事業専従者給与に関する届出書』をあらかじめ税務署に提出しておく必要があります。

家事按分のやりやすさ

青色申告は、白色申告に比べて家事按分できる条件が緩くやりやすい点もメリットです。

事業に必要な経費のうち、個人事業主のプライベートで使用する要素が含まれている場合は、事業と個人の使用割合に従って経費計上する額を決める『家事按分』を行います。

自宅兼事務所で事業を行っているような場合は、家賃や電気料金、通信費などが家事按分の対象です。

白色申告の場合は、事業で使用する割合が50%を超えているものしか家事按分できません。しかし青色申告の場合は、事業で使用していればその割合が50%以下でも、按分した金額を経費として計上できます。

事業に使った金額を合理的に区分し、少額でもマメに経費計上すれば、節税に繋がるのです。

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青色申告に必要な手続き

開業届けと青色申告承認申請書を提出

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青色申告をする場合は、自分が事業を営む地域を管轄する税務署に対して、青色申告を行うことに対する承認を受ける必要があります。初めて青色申告を行う人は、具体的にいつ、どんな書類を提出すればいいのかをチェックしましょう。

開業届と青色申告承認申請書を提出

青色申告の承認を受けるためには、まず税務署に事業開始を知らせる『開業届』を提出します。開業届は、事業開始から1カ月以内に提出するのが原則です。

さらに『青色申告承認申請書』も提出する必要があります。開業の初年度から青色申告をしたい場合は、開業から2カ月以内に青色申告承認申請書を提出しましょう。

青色申告承認申請書の提出期限を過ぎると、初年度は白色申告で確定申告することを余儀なくされます。翌年度から青色申告に移行したい場合は、翌年3月15日までに申請書を提出しましょう。

二度手間と提出漏れを防ぐため、開業届と青色申告承認申請書は同時に提出することをおすすめします。両方とも国税庁のHPからダウンロードするか、税務署で入手できるため早めに手に入れましょう。

確定申告書Bと青色申告決算書を作成

確定申告の時期を迎え、いざ青色申告を行う際に必要なのは、『確定申告書B』と『青色申告決算書』です。確定申告書にはAとBがありますが、個人事業主が提出するのは確定申告書Bの方だと覚えておきましょう。

記帳に使用した領収書や請求書などの提出は不要ですが、税務署による調査があった場合のために保存しておく必要があります。原則として7年間は証明書類の保存が義務付けられているため、決算書を作った後も破棄しないようにしましょう。

確定申告を行う

確定申告書Bと青色申告決算書が揃ったら、確定申告を行います。社会保険料控除証明書や生命保険料控除証明書、源泉徴収票など、人によってはほかにいくつかの書類が必要となる場合もあるため、添付漏れがないように注意しましょう。

確定申告は税務署の窓口への提出か郵送で受け付けていますが、近年はe-Taxによる申請も増えています。

申告の期間は、所得を申告する年の翌年2月16日から3月15日です。国全体に及ぶ大きな災害などが起きた場合は確定申告の期限が延長するといった事例もあるため、税務署からの発表を見落とさないように注意しましょう。

提出期限を過ぎるとペナルティとして延滞税や無申告加算税が発生するほか、2年連続で期限切れ後の確定申告を行うと、青色申告ができなくなる可能性もあるのです。

帳簿付けを効率化する方法

帳簿付けを効率化する方法

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青色申告に必要な複式簿記は複雑な記帳方法のため、普段帳簿付けをせず会計知識にもあまり自信がないという人は、最初のうち苦労するかもしれません。帳簿付けを正確かつ効率よく行うためには、帳簿付けの電子化がおすすめです。

会計ソフトを使う

青色申告を行っている個人事業主の多くが、会計ソフトを導入しています。収入・支出の計算はもちろん、勘定科目を正確に振り分けたり、銀行口座と連携させることにより自動で入力できたりと、帳簿作成作業が一気にスピードアップするでしょう。

確4定申告にあたっては、ソフトの指示に従うだけで簡単に確定申告書Bと青色申告決算書も作成できます。

会計ソフトは、勘定科目を自動で入力したり、減価償却費の更新を行ったりと記帳をサポートする機能を搭載しているため、あまり会計知識がない人でも帳簿の作成が可能です。

領収書やレシートは電子化

帳簿を付ける際、紙の領収書やレシートをいちいち見ながら入力していては時間がかかる上、入力ミスも起こりやすくなります。

スキャナーやスマホアプリを使って領収書やレシートを電子化してしまえば、帳簿に入力する際もコピー&ペーストするだけでよいため便利です。

会計ソフトによっては、電子化した領収書やアプリを自動で読み込んで帳簿に反映する機能により、入力作業そのものを省略できるものもあります。

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まとめ

個人事業主にとって青色申告はメリットが多く、特に節税や赤字の繰越による事業資金のやりくりのメリットがあることから多くの人が導入しています。

白色申告と比べて青色申告は簿記が複雑ですが、特別控除額や専従者給与、家事按分の条件の緩さなどは、収入が不安定になりがちな個人事業主にこそ必要でしょう。

会計ソフトの導入と領収書・レシートの電子化により、ある程度は帳簿付けの負担は軽減できます。

青色申告を行う場合は、事前の承認申請が必要です。手順に従ってきちんと手続きし、青色申告で事業を有利に運営しましょう。

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