経費として計上できる通信費とは。家事按分について税理士が詳しく解説!個人事業主や自営業の方必見

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経費として計上できる通信費とは。家事按分について税理士が詳しく解説!個人事業主や自営業の方必見

通信費は経費として計上できますが、仕事とプライベートで共有している費用は家事按分をする必要があります。節税対策を行うためにも、経費になるものや割合の計算方法を理解することが大切です。通信費を経費にする際の家事按分や記帳方法を紹介します。

甲田拓也
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

経費になる通信費とは?

経費になる通信費とは?

経費計上できる通信費には、どのようなものがあるのでしょうか。勘定科目を通信費として仕訳を行える主な費用について解説します。

電話の通話・通信料

経費になる通信費の代表例として、取引先との連絡で使用する電話の通話料や通信料が挙げられます。事業用として使用した分は、固定電話と携帯電話のどちらも対象です。

事務所に設置している固定電話は、常に事業用として使っていることが分かるため、料金の全額を経費にできます。個人用としても使用している携帯電話の場合は、事業で使用した分のみ通信費としなければなりません。

電話関連の費用としては、ほかにもFAX料金・電報料金・テレフォンカード代を経費にできます。いずれも、私用ではなく取引先とのやり取りで使った費用であることが条件です。

インターネット使用料

事務所にパソコンを導入している場合は、インターネットに接続しているケースが大半でしょう。インターネットを使用した際に発生する料金は、通信費として計上できます。

インターネット使用料の主な内訳は、通信回線業者に支払う料金とプロバイダ会社に支払う料金です。データの保管庫としてクラウドサーバーを利用しているなら、サーバー利用料も通信費に該当します。

自宅兼事務所のパソコンをインターネットにつないでいるケースでは、電話の通話・通信料と同様に、仕事で使用した割合分のインターネット使用料しか経費にできません。

開設工事費も含まれる

事務所で初めてインターネットを使用する場合は、ネットを使えるようにするための開設工事が行われます。開設工事にかかる費用は、通信費として経費にすることが可能です。

ただし、事務所内のLAN環境を整備するために実施する工事費は、通信費ではなく『固定資産』または『消耗品』で計上します。LAN工事で設置するWi-Fi機器などの費用も同様です。

LAN工事を固定資産として扱えば、工事費を減価償却費として数年に分けて経費計上できます。工事費が高額になった際、数年先まで見越した節税を行える点がメリットです。

工事費が10万円未満なら、消耗品扱いで一括計上もできます。その年の状況に合わせて、固定資産と消耗品のどちらか最適なほうを選ぶことになるでしょう。

送料・切手代

取引先などへ書類や備品を送った際に発生する送料も、通信費として扱えます。普通郵便や一般の宅配便だけでなく、速達・書留・特定記録郵便など、配送に関連する費用は全て経費とすることが可能です。

取引先に出した年賀状や電報の費用も、通信費で仕訳を行えます。はがきに切手を貼って取引先に送付したケースでは、はがき代と切手代の両方を経費計上することが可能です。

切手に関しては、使用後の分のみ通信費として処理できます。未使用の切手は、原則として『貯蔵品』で処理するため、経費にはなりません。消費税上の取り扱いも、購入時は非課税であり、使用後に課税対象となります。

私用分と合算で支払っている場合は家事按分

私用分と合算で支払っている場合は家事按分

事業用分と私用分を一緒に支払っている通信費は、家事按分をして分けなければなりません。家事按分の基礎知識と通信費の按分計算を解説します。

家事按分とは?

自宅兼事務所で仕事をしている場合、家賃や水道光熱費には経費と生活費の両方が含まれます。このようなタイプの費用は、全額を経費にはできません。

経費と生活費の両方を含む費用は、事業とプライベートで使用した割合で分ける必要があります。合理的な基準で費用を区分することを『家事按分』といいます。

家事按分の対象となる主な費用は、家賃・水道光熱費・自動車のガソリン代や自動車税・月極駐車場代・通信費です。

家事按分の比率を出す方法は、費用の種類により異なります。家賃なら面積、電気代なら使用時間や面積を基準に、按分割合を求めるのが一般的です。

通信費の計算例

通信費の按分割合は、一般的に使用時間や使用日数で決めます。実際に使用している時間を大まかに割り出し、ビジネスとプライベートで分けるのが基本です。

自宅兼事務所のインターネット回線をビジネスで平均6時間、プライベートで平均4時間使用しているなら、按分割合は6:4となります。その月のインターネット利用料が1万円の場合、通信費として処理できる金額は1万円×60%=6000円です。

使用時間を毎日細かく書き留めておく必要はありませんが、通信記録などの証拠書類は保存しておかなければならないため、きちんと説明できる割合に分けることが重要です。

通信費の記帳方法

通信費の記帳方法

通信費の基本的な仕訳例を紹介します。家事按分した場合の記帳方法も覚えておきましょう。

基本の記帳方法

『10月分のインターネット利用料2万円が10月30日に普通預金口座から引き落とされた』場合、複式簿記では以下のように記帳します。

日付 借方 貸方 摘要
10/30 通信費20,000 普通預金20,000 インターネット利用料

 

『11月10日に82円切手を現金で10枚購入し、すぐに使用した』場合の仕訳方法は以下の通りです。

日付 借方 貸方 摘要
11/10 通信費820 現金820 切手代

 

同じ内容を単式簿記で記帳する例も確認しておきましょう。

日付 通信費 摘要
11/10 820 切手代

単式簿記なら記帳を簡略化できますが、青色申告特別控除を受けるなら複式簿記で記帳しなければなりません。

 

家事按分した場合の記帳方法

前項のインターネット利用料2万円を家事按分し、事業用の割合が60%であった場合、複式簿記の記帳方法は以下のようになります。

日付 借方 貸方 摘要
10/30 通信費12,000 普通預金20,000 インターネット利用料
事業主貸8,000

プライベートで使用した40%分は『事業主貸』で処理します。事業主貸とは、個人事業主が私用分の費用を記帳する際に使う勘定科目です。

上記のインターネット利用料を、払込用紙などを使って現金で支払った場合は、以下のように記帳できます。

日付 借方 貸方 摘要
10/30 通信費12,000 現金12,000 インターネット利用料

 

通信費を経費にする場合のポイント

通信費を経費にする場合のポイント

通信費を経費計上する際の注意点を解説します。間違いやすい勘定科目や消費税区分について、理解を深めておきましょう。

間違いやすい荷造運賃・消耗品費

通信費と間違いやすい勘定科目に『荷造運賃』があります。荷造運賃とは、商品や製品の発送にかかった費用のことです。梱包材料費や配送料が該当します。

荷造運賃は『売上に直接影響する配送』で使う勘定科目です。商品の返品を受ける際に費用が発生した場合も、売上が下がることになるため荷造運賃で計上します。カタログや領収書を配送した際の費用は通信費です。

消耗品費も通信費と混同しやすい勘定科目です。電話機本体などの通信機器やFAXで使う用紙代、書類の配送に使う封筒代は、一般的に消耗品費で処理します。

どの勘定科目を使えばよいのか分からない場合は、選んだ勘定科目に一貫性を持たせるようにしましょう。どれを選んでも間違いとはなりません。

通信費の消費税区分は?

国内通話料・インターネット料金・国内郵便など、国内での通信にかかる通信費の消費税区分は『課税』となります。

国際電話や国際郵便といった、国内と海外をまたいだ通信費は『免税』です。国内を経由せず、海外のみでやり取りされる通信は『不課税』となります。(※なお、電気通信利用役務提供にあたる取引の場合の消費税はより細かい検討が必要になりますので注意が必要です。)

通信費の消費税区分を考える際は、切手の扱いに注意しましょう。原則として、切手は使用時に初めて経費となり消費税が課税されます。

ただし、日常的に切手を使用している場合は購入時に通信費として計上し、消費税区分を『課税』として処理する例外処理が認められています。この場合は、継続適用することが条件です。

まとめ

経費になる通信費には、電話料金・インターネット使用料・送料・切手代などがあります。インターネットを開通する際の工事費も、通信費にできる費用です。

個人事業主が自宅兼事務所で仕事をする場合は、家事按分をしなければなりません。通信費の正しい記帳方法を覚え、きちんと確定申告を行いましょう。

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