飲食店の開業に必要な資金と内訳を解説。資金調達の方法は?

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飲食店の開業に必要な資金と内訳を解説。資金調達の方法は?

飲食店の開業資金は1000万円が目安です。物件の取得や設備にかかる費用のほか、当面の運転資金も含まれています。金融機関から借りるほか、しっかり自己資金を用意して開業準備をしましょう。開業時のコストを抑える方法や資金調達方法も解説します。

※記事は2021年9月現在の情報になります。

甲田拓也
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

飲食店の開業資金はいくら必要?

飲食店の開業資金はいくら必要?

独立して自分の飲食店を持つことに、あこがれを抱く人も多いのではないでしょうか。開業するには料理の腕や経営知識など、さまざまなものが必要ですが、現実的な課題になるの開業が開業資金です。

飲食店をオープンする場合、一般的に開業資金はどの程度必要なのでしょうか?世の中の相場も見ていきましょう。

目安は1000万円

開業資金の目安は、1000万円です。日本政策金融公庫総合研究所による2020年度の調査では、開業費用の平均金額は989万円でした。非常に大きな金額に感じる人もいるかもしれませんが、同調査によると500万円未満の資金で開業した人は43.7%にものぼるそうです。

開業費用の割合としては、店舗の内外装費が半分弱を占めます。業態や規模にもよりますが、事業を行うための機器や備品も必要です。

業態によっては、テナント貸借費用や営業保証金、FC加盟金の支払いなども発生します。

参考:2020年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫総合研究所

 

適切な事業計画の作成が重要

開業費の平均は参考になりますが、あくまで目安にすぎません。自分が予定している業態や規模などに応じて、正確に算出しましょう。

自分の場合どのくらいの開業費が必要になるかについては、適切な事業計画の作成によって明らかになります。自己資金をどのくらい捻出できるか、足りない分はどこから調達してくるか、事業をどのくらい運営すれば回収できるかなどを考えましょう。

特に融資を受ける場合、全体の開業資金に対して自己資金比率が少なすぎる場合は、審査に落ちる可能性もあります。開業資金を抑えるために、物件のグレードを見直したり、設備の数を調整したりといった工夫も可能です。

現実的に必要な開業資金を見極め、金融機関の信頼を得るためにも事業計画はきちんと立てましょう。

飲食店の開業資金の内訳

飲食店の開業資金の内訳

飲食店の開業資金に、約1000万円という一般的な目安はあるものの、最終的に必要な金額は人によってさまざまです。自分のケースに合った形に落とし込んで考えるために、開業資金の内訳を見てみましょう。

開業資金の内訳を知ることで、自分の店舗ならどこが削れるのか、逆に何の費用がかさみそうなのかが見えてきます。

物件取得費用

飲食店の開業資金で特に多くを占めるのが、『物件取得費用』です。物件取得費用とはその名の通り、契約により物件を自分のものにするためにかかる費用であり、家賃の9~13カ月分程度が目安となります。

物件取得費用の内訳は、保証金・礼金・仲介手数料・前家賃です。保証金に家賃10カ月分・礼金に1カ月分・仲介手数料に1カ月分・前家賃に1カ月分が相場といえます。

例えば家賃が20万円の物件を借りようとするなら、物件取得費用は260万円かかるのです。これに加えて、居抜き物件なら造作譲渡費と手数料がかかるでしょう。

店舗投資費用

『店舗投資費用』とは、店舗の内装・外装のほか、厨房で使う設備や備品、食器やグラスなどを含めた金額であり、店を飲食店として成り立たせるために必要な金額です。

店舗の見た目や間取りにどのくらい手間をかけるか、設備にどのくらいこだわるかによって金額は大きく変わります。

外装は看板の施工や外壁の変更などで、合わせて20万円前後が目安となります。電気や水道、ガス、空調などのインフラ整備は、すべて合わせると200~400万円かかる場合もあるでしょう。

飲食店に必要不可欠な厨房設備は100~250万円が目安ですが、グレードの高い冷蔵庫や冷凍庫、食器洗浄機などを設置すれば、それだけ必要資金が膨らみます。

レジや食器・調理器具、テーブルや椅子などにも細かい費用が発生しますが、開業時は必要最低限だけ準備し、事業が落ち着いてから後で増やしていくという方法もおすすめです。

運転資金

運転資金は、事業が落ち着き、ある程度の売上が見込めるようになるまで、月々の経費などに回すための資金です。

飲食店なら食材の調達や調理時に使う水道・ガス・電気などにかかる費用が予想できます。なかでも特に大きくなる費用が人件費です。開業時点で従業員を雇う予定であれば、1人あたり10~20万円の給与を月々支払うことになります。

運転資金は余裕を持って準備しておかなければ、途中で資金繰りが乱れ、店の運営が苦しくなるため注意が必要です。

コストを抑えて開業するコツ

コストを抑えて開業するコツ

飲食店の開業には、少なくない資金が必要になることが分かっていただけたのではないでしょうか。なるべく金銭的負担を小さくするために、開業資金のうち削れる部分は削っておくとよいでしょう。

飲食店を開業する際、コストを抑えられる可能性があるポイントを解説します。

居抜き物件を選ぶ

開業費のうち大きな負担となる物件取得費用ですが、スケルトンよりも居抜き物件を選んだ方がコストを抑えられる点に注目しましょう。

スケルトン物件とは躯体だけの建物であり、居抜き物件とは前の店舗の設備を残した物件です。前に物件に入っていたのが飲食店であれば、厨房機器やテーブル、個室の仕切りなど流用できる部分が多く、必然的にコストを抑えられます。

さらに、スケルトン物件であれば発生する内装・外装工事も、前の飲食店のものを使えば使うほど低くできます。ただし、手を加えなければ以前の店の雰囲気がそのまま残り、自分の店の個性を打ち出しにくくなることには注意しましょう。

家賃交渉をする

家賃は長期的に見れば大きな額になるため、家賃の値下げ交渉が成功すれば、かなりのコストを下げられます。物件のオーナーと価格交渉し、値下げの余地があるかどうか探りましょう。

物件のオーナーにとっては利益が下がるだけなので、簡単にOKしてくれることはありません。ポイントは、オーナーにとってのメリットを提示しながら交渉することです。

物件を借りたら何年間は入居する見込みがあり、オーナーはいくらの利益が保証されるかといった話をするほか、家賃の前払いを申し出てオーナーに安心感を与えたりするとよいでしょう。

近隣の似たような物件について調べ、相場と比較することも交渉における武器となります。

自己資金はいくら用意すべき?

自己資金はいくら用意すべき?

飲食店の開業に必要となる開業資金ですが、その全額を自分で賄う必要はありません。金融機関に融資を申し込んで受理されれば、十分な開業資金が準備できるでしょう。

しかし、金融機関からの融資を受けるとしても、ある程度の自己資金は必要です。あまりに自己資金が少ないと、金融機関の信頼を得にくくなってしまうでしょう。開業資金のうち、自己資金はいくらぐらい必要となるかを解説します。

必要額のうち50%以上あると安心

飲食店を開業する場合、自己資本は金融機関から借りられる創業融資の50%以上準備しておくと、いざという時に安心です。最低でも創業融資の3分の1は確保するようにしましょう。

開業前にどんなに細かい資金計画を立てていても、実際に開業に向けて動き出せば想定外の出費に見舞われます。開業資金の目安である1000万円を準備するなら、少なくとも300万円は自己資金で準備しましょう。

運転資金は半年分を基準に用意

飲食店の場合、開業して軌道に乗り、店が利益を出し始めるまである程度時間がかかります。利益が出るまでに発生するランニングコストは、半年分を基準に準備しましょう。

一般的には、飲食店が開業してから黒字化するまでに半年はかかるといわれています。さらには、創業1年後に黒字化した店は約6割という厳しい現実があるのです。

飲食店は、客に対して飲食物を提供すればすぐに金銭が発生するという業種のため、比較的資金繰りしやすいといわれています。しかし、開業時の債務を返済しつつ、月々発生する経費を賄うには、それなりの安定した売上が必要なのです。

月々の家賃や食材・ドリンクの仕入れ、水道光熱費、従業員への給与などを計算し、運転資金を準備しましょう。

自己資金ゼロでも開業は可能?

自己資金を準備できない、もしくはできる限りゼロに抑えたいという場合でも、開業は可能です。

自己資金がゼロの場合、金融機関からの融資を受けることはできませんが、個人的に信頼関係のある家族や親戚から資金を借りたり援助を受けたりという方法があります。

ただし、親族から援助を受ける場合、金額が年に110万円以上であれば贈与税が課せられます。贈与ではなく借入とするのであれば、税法上きちんとした借用書を作成しなければなりません。

後々税務署からの調査が入っても問題ないように、お金の流れが分かる記帳済の通帳を用意しておくとよいでしょう。

また、金融機関から融資を受ける場合は、家族や友人から借りたお金は自己資金ではなく借入金とみなされた上で審査されるので要注意です。

飲食店開業時の資金調達方法

飲食店開業時の資金調達方法

飲食店の開業資金の調達方法は、自己資金の準備と金融機関からの借入だけではありません。開業資金を工面することに苦戦しそうな人は、以下で紹介する手段を検討してみましょう。

日本政策金融公庫から借入

一般的な金融機関は、経営実績がない経営者に対してなかなか融資しない傾向があります。初めて開業する人は、日本政策金融公庫から借入ができないか、確認してみるとよいでしょう。

政府系の日本政策金融公庫は、創業したばかりで経営実績がない事業主でも利用できる金融機関です。ただし、自己資金は最低でも開業資金の10%は準備しなければならないという、シビアな条件を設けているため注意しましょう。

日本政策金融公庫

 

親族や友人から借りる

親族や友人から飲食店の開業資金を借りるというケースはよくあります。強い信頼関係あってこその資金調達方法であり、金利の設定も明確にしない場合が多いため、借りる方としてはありがたいものです。

しかし、親族や友人からの借入は、金融機関とは違って厳格な借入ルールが敷かれているわけではないため気が緩みがちです。金額が高額になればなるほど、トラブルに発展する可能性も高くなります。

万が一返済のめどが立たなくなれば、あっという間に信用問題に発展してしまい、人間関係は修復不可能になってしまうでしょう。親しい間柄だからこそ、お金の貸し借りは借用書や金銭貸借契約書に記録しておくことが大切です。

助成金や補助金を利用

飲食店を開業する際には、自分が利用できる助成金や補助金がないか確認しておきましょう。

創業補助金は、その名の通り創業に必要なお金を補助してくれる制度で、女性や若者が地域で起業・創業することを支援する目的を持っています。

補助率は3分の2、補助金額は100〜200万円というケースが一般的です。募集期間が決まっているため、申し込みのタイミングには注意しましょう。

開業後に利用できる『小規模事業者持続化補助金』という制度もあり、補助率は経費の3分の2、上限50万円までです。

助成金や補助金のほとんどは後払いのため、開業費にすることはできませんが、後々お金のあてがあるということは、開業資金を用立てる際にも役立つでしょう。

まとめ

飲食店の開業資金には、目安で1000万円ものお金が必要です。内訳は物件取得費用や店舗投資費用、運転資金などであり、業態や規模によって金額は大きく異なります。

コストを抑えるため、居抜き物件を探したり家賃交渉をしたりといった工夫をするのもよいでしょう。

開業費用にはある程度の自己資金が必要です。金融機関以外にも調達の方法を探り、お店のよいスタートが切れるようにしましょう。

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