不動産投資で法人化する目安とは?メリット・デメリットも知ろう

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不動産投資で法人化する目安とは?メリット・デメリットも知ろう

不動産投資で法人化すると、節税効果や資金調達方法が増えるなどのメリットがあります。一方で設立時や維持に費用がかかる点は注意が必要です。法人化して不動産投資を行うメリット・デメリットと法人化のタイミング、具体的な手続きを解説します。

※記事は2021年10月現在の情報になります。

甲田拓也
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甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

 

不動産投資の法人化とは?

不動産投資の法人化とは?

不動産投資が軌道に乗り、利益が安定してきたなら、不動産投資を法人化することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

不動産投資を法人化するとはどういうことか、個人事業を継続することと何が違うのか解説します。

不動産投資の資産管理会社を設立すること

不動産投資の法人化とは、資産管理会社を設立することを指します。投資家が法人の代表となり、株式会社や合同会社を設立するのです。

代表となった投資家は、法人に対して自分の資本を出資します。そして、法人として投資用の物件を購入・保有・管理して利益を出すのです。投資家は、法人から役員報酬として利益を受け取ることになります。

不動産投資目的で作られた資産管理会社は多くの場合、投資家本人が個人で運営しているため、『プライベートカンパニー』と呼ばれることもあります。

個人事業主とどう違う?

不動産投資目的の資産管理会社は投資家個人が運営する場合がほとんどですが、個人事業主との大きな違いが税金面にあります。

個人事業主には、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税の所得税が課されますが、法人税の税率は一定です。そのため一定以上の所得を得るようになれば、法人化した方が税金を安く抑えられるようになります。

また、もし損失を出し所得がマイナスになった場合、個人であれば3年間、法人であれば10年間の赤字の繰越が認められている点もポイントです。所得が低ければ税金も低くなるため、大きな節税効果が期待できます。

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不動産投資で法人化するメリット

不動産投資で法人化するメリット

不動産投資の法人化を検討しているなら、法人化でどのようなメリットが得られるのかを理解しておきましょう。法人化すると、節税面や資金調達面のほか、万が一の相続の際にも有利に働きます。

詳しい内容を解説しましょう。

節税効果に期待が持てる

不動産投資を法人化すると、個人事業主として活動するよりも高い節税効果が期待できます。不動産所得が高額であれば、利益を出せば出すほど税金が高くなる個人事業主では大きな負担となります。

また、法人化することで個人事業主よりも経費計上の幅が広がる点も、節税につながる大きなポイントです。法人として従業員を雇っている場合、保険料を全額経費にできるほか、家族を従業員とする際に支払っている給与を経費として計上できます。

計上できる経費を増やして所得を抑えれば、税金が安く済みます。

資金調達が有利になる

法人は個人事業主よりも社会的信用が高いため、金融機関の融資審査に通りやすくなります。個人事業主よりも厳格なルールにのっとって会計処理をしていることや、登記により会社情報が透明化していることが有利に働くためです。

さらに、法人になると資金調達の手段が個人よりも多くなります。株式会社であれば、株式を新規に発行して資金を集めることもできるのです。

繰越損失の期間が10年に

法人になると、赤字を出した年度があっても、最大10年まで繰越できるようになります。個人の場合は最大でも3年間しか繰越できないため、法人の方が自由度が高いといえるでしょう。

損失を出した年の翌年以降、どこかで黒字転換できた場合は、利益と損失を相殺して税金を安く抑えられます。繰越損失期間が10年あるので、個人事業主よりも高い節税効果が期待できるのです。

相続時の負担を減らせる

不動産投資を法人化すると、法人には相続税がかかりません。もし個人事業主として不動産投資をしていると、投資家本人が亡くなった場合に、相続人が相続したビルやマンションの評価額に応じた相続税を支払う必要があります。

法人の場合、投資物件の所有者は法人であり、投資家が亡くなったとしても相続人が法人から直接相続することはないため、相続税は発生しません。また、個人の資産を法人に移転することで、個人の相続負担を減らすことにもつながります。

さらに法人化により、相続資産として分割しにくい不動産から、分割しやすい株式へと資産の種類を変えられる点もメリットです。相続人が複数人いる場合でも、株式であれば平等に資産を分けやすく、トラブルが起きにくいでしょう。

不動産投資で法人化するデメリット

不動産投資で法人化するデメリット

不動産投資を法人化すると、節税や資金調達などさまざまな面でメリットがあることが分かりました。しかし、法人化することでデメリットが生じることも忘れてはいけません。不動産投資を法人化する際の注意点を解説します。

設立時や維持に費用がかかる

不動産投資を法人化する場合、設立時はもちろん維持にも費用がかかることを知っておきましょう。

株式会社の場合、法人の設立にあたり、公証役場での定款認証費用に5万円、定款印紙代に4万円かかります。さらに、登録免許税として最低15万円が必要です。必要書類を自分で揃えられず、司法書士などのプロに依頼すると、追加で費用がかかります。

法人設立の時点で25万円程度の費用を準備しておく必要があります。

また、法人は個人事業主であれば支払う必要のなかった社会保険料や法人住民税を支払う必要があることに注意が必要です。特に法人住民税は均等割が発生するため、たとえ赤字でも毎年7万円の支払いを行う必要があります。

法人化にともない申請する事柄や手続きの難易度が上がり、税理士や事務員を雇うとなれば、さらに追加費用が発生するでしょう。

売却時の税率が高くなる

法人化すると、個人事業主として不動産投資をしていた際に適用される、長期譲渡所得の優遇税制を利用できなくなります。

個人の場合、不動産を取得から5年以内に売却した際の税率は、所得税・住民税含めて39%、5年を超えてから売却した場合は、長期譲渡所得の優遇税制により税率が20%になります。

法人の場合は期間の長さに関係なく最低税率は約22%となるため、物件を長期で保有する場合は法人の方が高い税率となってしまうのです。

不動産投資で法人化するタイミングはいつ?

不動産投資で法人化するタイミングはいつ?

不動産投資を法人化することを検討しているなら、タイミングを見極めましょう。法人化するタイミングによっては、効果的な節税につながったり、余計な出費を抑えたりできるでしょう。法人化のタイミングとしておすすめな時期を解説します。

所得の目安をチェック

不動産投資を法人化するタイミングの一つが、所得金額です。

個人事業主の所得税は、所得が上がるほど税率も高くなる累進課税で、所得が695万円超900万円以下であれば23%、900万円超1,800万円以下であれば33%の税率が適用されます。

一方で法人の場合、所得800万円以下であれば法人税率は15%、800万円を超える部分でも23.2%です。個人事業主で課税所得が900万円を超えるようであれば、法人化を視野に入れるとよいでしょう。

不動産投資からの所得だけでなく給与所得のある会社員の場合、最終的な税額は、会社からの給与に対する課税と、不動産投資による所得に対する課税の両方を総合的に考えて計算する必要があるため要注意です。

最初から法人化した方がいい場合も

もし不動産投資が軌道に乗る見込みがあり、ゆくゆくは法人化を視野に入れているとしても、最初から法人化しておいた方がよい場合もあります。

個人事業主の事業を法人化する場合、投資用物件は投資家個人から法人に所有者を移すことになります。このとき、不動産取得税と登記費用を支払わなければなりません。最初から法人化しておけば、余分な出費を抑えられると考えられます。

不動産投資で法人化する方法

不動産投資で法人化する方法

不動産投資で法人化する最適なタイミングだと判断できるなら、法人化の手続きを進めましょう。法人化には必要な書類や手続きがいくつもあるため、あらかじめ手順を確認しておくことをおすすめします。

登記前の準備項目

不動産投資で法人化する場合、不動産の所有方式を決定しましょう。

所有方式は、個人から土地を借りる形をとる『建物のみ所有方式』と、土地も建物も法人が所有する『土地建物所有方式』の二つです。建物のみ所有方式は、税務署に無償返還の届出をすることを忘れないようにしましょう。

また、法人化の際には、商号や所在地、資本金、発起人、取締役を決めておく必要があります。のちに法務局で登記申請を行う際や高額な取引を行う際に備え、会社の実印と銀行印を用意しておきましょう。実印は印鑑登録も必要です。

法人化に必要な書類

登記前の準備が整ったら、法人化に必要な書類を用意しましょう。

法人化するにあたって決めた設立事項を含め、会社の事業内容やルールをまとめた定款や、登記に必要な登記申請書、取締役が1人以上いる場合に就任を証明する就任承諾書、3カ月以内に発行された取締役の印鑑証明書が必要です。

資本金を払い込んだことを証明する書類も準備しましょう。書類は、通帳の記帳欄と表紙、個人情報欄をコピーして製本したものです。

登録免許税分の収入印紙も申請時に必要になります。

法務局へ登記申請

必要な書類が準備できたら、公証役場に行って定款を提出し認証を受けます。その後、法務局へ向かい登記申請を行いましょう。

法務局で設立登記の申請が受理されれば、1~2週間ほどで登記が完了します。書類に不備があると修正が発生し、手続き完了が遅れるため注意しましょう。

設立後は、税務署や市役所、年金事務所、都道府県税事務所などでも手続きを行う必要があります。

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まとめ

不動産投資を法人化すると、投資家である自分自身ではなく資産管理会社が投資物件を保有して投資を行う形態に移行します。法人化によって節税効果が期待できるほか、資金調達しやすくなったり、相続時の負担を軽減できたりという点がメリットです。

一方で、法人化することにより設立時や運営継続にコストが発生したり、個人事業主と比べて物件売却時に不利になったりするデメリットもあるため注意しましょう。

不動産投資から得られる所得から、法人化に適したタイミングだと感じたなら、正しい手順に沿って法人化を進め、さらに事業を成長させましょう。

 

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