行政書士が開業する方法。費用や手続き、メリット・デメリットを解説

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行政書士が開業する方法。費用や手続き、メリット・デメリットを解説

行政書士の開業は他業種よりもコストが少なく、自由度の高い働き方ができる魅力があります。その半面、収入が不安定になりやすいため、実務経験を十分に積んでからの開業がおすすめです。行政書士が開業するメリット・デメリットと開業手続きを解説します。

※記事は2021年10月現在の情報になります。

甲田拓也
サイト管理者の紹介
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

 

行政書士の基本を紹介

行政書士の基本を紹介

行政書士として開業することを目指しているのであれば、まず行政書士の業務内容や働き方を知っておく必要があります。また年収や平均年齢など、業界の実情を把握しておくことで、独立への決心もしやすくなるでしょう。

行政書士の業務内容

行政書士の業務は、依頼を受けて官公署に提出する書類の作成を行ったり、手続きを行ったり、書類作成上の相談を受けたりする仕事です。

官公署とは各省庁や都道府県庁、市・区役所、町村役場、警察署などさまざまあります。行政書士の手がける書類の多くは、営業に関する許認可や法人の定款作成に関するものだといわれています。

行政書士は、その高い専門知識を生かし、法的効力を持つ書類の作成や手続き代行を行うことで、依頼者の事務の迅速化に貢献するという役目を担っているのです。

行政書士の年収や年齢

行政書士の年収は、平均して600万円前後とされています。独立開業しているか、行政書士事務所や法律事務所に雇用されて業務を行っているかにより、年収に大きな差が生じます。

雇用されている場合でも、所属する事務所の規模や役職によって年収に開きが生じます。勤務地が首都圏か地方かによっても差が出るでしょう。高収入の行政書士は2,000~3,000万円、苦戦している行政書士は300~400万円に留まるとされています。

現役の行政書士の平均年齢は高く、50歳以上が大半を占めているのが実情です。

行政書士が開業すべきタイミングは?

行政書士が開業すべきタイミングは?

行政書士として開業することを検討している人が気になるのは、開業のタイミングでしょう。資格を取得してすぐに開業しても、果たして十分に業務を遂行できるものなのか不安になる人も多いのではないでしょうか。

行政書士はいつ開業するのがおすすめなのか、理由とともに解説します。

まずは実務経験を積んでから

行政書士として独立開業する場合でも、まずは実務経験を積んでからの方が好ましいでしょう。

顧客が行政書士に求めるのは、法律にのっとった正確な書類をスピーディに作成することです。実務経験がなければ、最初はどうしてもうまく仕事が回せなくなってしまいます。

実務経験を積むなら、行政書士法人の社員として働く、使用人行政書士として行政書士事務所で働く、無資格でも就ける行政書士補助者として行政書士事務所で働くといった方法があります。

資格試験で学ぶ内容は確かに知識として必要ですが、実務の現場ではあまり活用されないかけ離れた知識も多いものです。資格取得したからといって、それだけで満足に仕事ができる保証はないということを覚えておきましょう。

資格取得後に未経験で開業する人も

実務経験がないにもかかわらず、資格取得後すぐに独立開業する人も存在します。行政書士は、税理士など他の士業と異なり、実務経験がなくても独立開業が比較的可能です。

依頼人は、行政書士の専門知識を信頼し、正確かつスピーディに書類が作成されることを期待しています。つまり、そうした期待に応えられるだけの仕事ぶりであれば、未経験で開業しても問題ないのです。

未経験でも行政書士として顧客や役所とやり取りしたり、書類を繰り返し作成して知識やノウハウを身に付けたりするうちに、経験豊富な行政書士になれるでしょう。

行政書士が開業するメリット

行政書士が開業するメリット

行政書士は開業するとさまざまなメリットを享受できます。他の業種と比べて開業しやすく、しかも自由度高く働けるようになるのです。自分の求める働き方と合っていると感じたら、開業を検討してみるとよいでしょう。

開業コストが他業種よりも低い

行政書士は、他の業種と比較しても開業コストを低く抑えられる点が特徴です。自宅兼事務所であれば新たに事務所を構える必要もなく、業務に必要なPCやコピー機などがあれば初期の設備投資も不要です。

さらに自宅兼事務所であれば、電話回線やインターネット環境も改めて用意する必要はなく、水道光熱費も個人で利用しているものの一部を事業用に使うようになるだけなのでコスト削減になります。

自分のペースで働くことができる

行政書士として開業すると、自分のペースで働けるようになります。会社などの組織に所属していると、就業規則に合わせて働く時間や場所が制限されますが、開業すれば自分の好きな時間・好きな場所で働けます。

特に自宅兼事務所で仕事をするのであれば、普段生活している空間で仕事ができるため、リラックスして働けるでしょう。

また、開業して働いているなら、仕事量やクライアントを選ぶことができる点もメリットです。自分の求める収入分の案件を確保できるなら、業務量を調整してワーク・ライフ・バランスを優先することもできます。

定年がない

開業して働く場合、定年がないため何歳になっても行政書士として働き続けることが可能です。自分のライフプランに合わせて業務量を調整できることもあり、体力や家庭の状況に合わせて働けるでしょう。

さらに、行政書士は実績を積めば積むほど顧客からの信頼が厚くなり、依頼も増えていくものです。

行政書士は外部に出せない企業の重要情報や個人情報も取り扱うため、取引先と長い付き合いになるほど有利になります。取引先も、まったく知らない行政書士と一から信頼関係を築くよりも、特定の行政書士と取引を継続した方が都合がよいからです。

行政書士として長く働くほど、収入は安定していくでしょう。

行政書士が開業するデメリット

行政書士が開業するデメリット

行政書士として開業することにはさまざまなメリットがありますが、反対にデメリットがあることも忘れてはなりません。特に、独立して自分で仕事をするということは、収入の増減も自分次第ということを理解しておきましょう。

軌道に乗るまで時間がかかる

行政書士が開業しても、すぐに経営が軌道に乗るとは限りません。独立して仕事をするということは、自分で取引先を獲得し、ゼロからコツコツ実績を積み重ねなくてはならないということです。

何らかのつてを利用して取引先を紹介してもらえるケースであれば別ですが、ほとんどの場合は開業直後から積極的な営業活動を強いられるでしょう。

行政書士の仕事は本人のスキルと知識でサービスを提供する仕事であるため、とにかく案件をこなして実績を重ね、顧客が依頼したいと思うような実力を身に付けるほかないのです。

また行政書士は税理士、社労士、司法書士や他の行政書士と協力して仕事をするシーンも多く、時間をかけて人脈を広げていく必要もあります。

収入が安定しない

開業すると、毎月決まった額の給料を得られていた会社員時代とは違い、収入が不安定になりやすくなります。自分が仕事をしなければ当然収入は得られません。

たとえ運よく多くの仕事が舞い込み、一時的に収入が上向いたとしても、その後同じような収入が得られるとは限りません。継続して仕事を発注してくれる顧客を獲得できなければ、行政書士としての仕事を安定させることは難しいでしょう。

開業すると、いつ仕事が途切れるタイミングが来るか分からないため、常に営業活動を行う必要があります。見込み顧客を増やしたり、人脈作りを大切にしたりという日々の地道な努力が大切になります。

行政書士が開業する流れやポイント

行政書士が開業する流れやポイント

行政書士として開業するなら、どのような手続きが発生するのかを知っておくことが必要です。書類の手続きだけでなく開業に必要な費用もあります。事前に何を準備すればいいかを正確に把握しておけば、スムーズに開業できるでしょう。

開業する際の手続きの流れ

行政書士として開業するなら、まずはどこを事務所にするかを決める必要があります。行政書士は顧客の重要情報を取り扱うため、守秘義務を保てるうえに情報漏洩の可能性が低く、職務を問題なく遂行できる場所を準備しましょう。

自宅兼事務所とするなら、居住スペースと事務所は明確に区分されている必要があります。

事務所と事務所名を決めたら、都道府県行政書士会へ登録しましょう。約1カ月後に役員が事務所調査に訪れ、届け出た内容と実際の事務所に違いがないかチェックします。

事務所調査が終われば、税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出し、晴れて行政書士として活動が可能になります。

開業に必要な費用

行政書士が開業する場合、都道府県行政書士会への登録費用がかかります。事務所を借りずに自宅兼事務所で活動するのであれば、事務所の賃貸料はかかりません。また、事務用品・事務機器も今あるものを使えばよいでしょう。

もし一から事務所を構えるのであれば、家賃はもちろん仕事環境を整えるための事務用品や機器を買いそろえたり、通信環境を整えたりする必要があります。

開業してもすぐに十分な収入が得られるとは限りません。運転資金として、生活費の3カ月から半年程度のまとまったお金を準備しておきましょう。

開業時に活用できる補助金

開業資金を自分だけで準備するのが大変な場合は、補助金制度の活用がおすすめです。

創業時に利用できるのが『創業支援等事業者補助金』で、補助対象経費の3分の2以内であれば国や地方自治体が必要経費を一部補助します。ただし、補助額は下限50万円、上限1,000万円となっている点に注意しましょう。

この制度の目的は地域経済の活性化と雇用創出であるため、適用の判断をするのは市区町村です。自身の市区町村が適用可能かどうか確認しておきましょう。

失敗しないためには?

行政書士を開業して失敗しないためには、最初に営業を積極的に行うことと、他士業を含めて人脈を作る努力を怠らないことです。仕事を任せてくれる人を積極的に見つけるよう心がけ、開業後すぐにウェブサイトでの顧客獲得をすることも検討しましょう。

また、自分の得意分野を作って他の行政書士との差別化を行うことも効果的です。代替できない行政書士になれば顧客から重宝されます。

行政書士の専門分野として候補に挙げられるのは、建築、飲食、運輸、外国人在留資格、風俗営業など届け出とは切っても切り離せない業界です。

また、法務や会計、会社法、相続、著作権などの法律分野も、行政書士の活躍の場が多いといえます。

いきなり開業することに不安があれば、週末だけ行政書士を行う週末起業の働き方もリスクが少なくおすすめです。

まとめ

行政書士として開業を目指すなら、まず業務内容はもちろん年収や平均年齢など、実情を把握しておきましょう。開業は実務経験を積んでからの方がリスクが少なくおすすめです。

開業すると定年の心配なく自分のペースで仕事ができる反面、収入が安定しないリスクもあるため、慎重に判断することをおすすめします。開業するための流れを把握し、自分に適したタイミングで行政書士として独立しましょう。

 

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