税理士資格を取得するのに必要な勉強時間の目安は?勉強方法とポイントを解説
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士業のなかでも、資格を取得するのが難しいといわれる税理士資格。
「どれくらい勉強すれば合格できるのだろう?」と、不安に思うかもしれません。また科目数が多い税理士試験は、効率よく勉強する必要があり、スケジュール管理も重要です。
この記事では、税理士資格を取得するのに必要な勉強時間の目安と、効率的な勉強スケジュールの立て方を紹介します。
サイト管理者の紹介
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表) 早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中! |
税理士の資格を取得するときに必要な勉強時間の目安
税理士資格の取得には、膨大な勉強時間が必要といわれています。ただし人によって必要な勉強時間は異なるため、一概には示せません。
しかし、税理士資格の合格には一般的に必要と考えられている勉強時間があります。まずは、税理士資格の取得に必要な勉強時間の目安を紹介します。
税理士試験全体の勉強時間の目安は3,000〜4,000時間
税理士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、一般に3,000〜4,000時間といわれています。
1,000時間ほど差があるのは、一人ひとり進度が異なるためです。そのため4,000時間勉強したからといって、必ず税理士試験に合格できるわけではありません。
なかには、効率よく勉強を進め、3,000時間あるいは3,000時間未満で税理士試験に合格する人もいます。
勉強時間の目安3,000〜4,000時間は、あくまで目安として参考にする程度にとどめましょう。
科目別の勉強時間の目安は各500時間程度
税理士資格の取得に必要な時間数として、科目別に示されることもあります。一般的に、1科目500時間程度が必要と考えられています。
そもそも税理士試験の科目は、以下のとおりです。
必須・選択 | 試験科目 |
必須科目 |
|
選択必修科目(1科目選択) |
|
選択科目(3科目選択) |
|
参照:国税庁「税理士試験の概要」
合計5科目で6割以上の得点が必要ですが、一度に5科目すべてに合格する必要はありません。
たとえば、1科目ずつ1年かけて合格していく方法もあります。1科目につき500時間の勉強時間が必要なため、毎日勉強する場合は1日1時間半程度を継続すればよく、働きながらでも無理のないスケジュールで勉強できるでしょう。
一般的には、国税徴収法や固定資産税法、酒税法、住民税法、事業税法はボリュームが少ないので、200時間程度の勉強で合格できると考えられています。
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税理士資格の取得までにかかる年数
合格までに3,000〜4,000時間を必要とする税理士資格は、取得するまでに5年程度かかります。というのも、毎日5時間ずつ勉強したとして、1年に確保できる勉強時間は約1,800時間です。必要な勉強時間の半分程度にしかなりません。
働きながら勉強するならなおさら、勉強時間の確保は難しくなるでしょう。
そのため、現実的に考えて1年で1科目ずつ合格するのが無理せず税理士資格を取得できる方法です。
税理士試験の合格率や合格者数
税理士試験が最難関といわれるのは、その合格率の低さです。
国税庁によると、令和3年度(第71回)税理士試験の結果で合格率は18.8%、合格者数は5,139人でした。このうち5科目合格到達者数は、585人しかいません。
5科目すべてに合格した人のうち、最も多い年齢層は41歳以上で256人、次は36〜40歳で116人でした。しかし合格率は年齢層が低いほど高くなっています。年齢層と合格率をみる限り、大学や大学院で勉強したことを忘れないうちに合格する方が、税理士資格は取得しやすいでしょう。
科目別の合格率は、以下のとおりです。
科目 | 合格率(%) |
簿記論 | 16.5 |
財務諸表論 | 23.9 |
所得税法 | 12.6 |
法人税法 | 12.8 |
相続税法 | 12.8 |
消費税法 | 11.9 |
酒税法 | 12.6 |
国税徴収法 | 13.7 |
住民税 | 12.7 |
事業税 | 12.6 |
固定資産税 | 13.8 |
参照:国税庁「令和3年度(第71回)税理士試験結果」
税理士資格の取得に向けた勉強スケジュールの立て方
ここまで説明してきたとおり、税理士資格の取得には莫大な勉強時間が必要です。時間を効率よく使うためには勉強方法を工夫しましょう。
税理士資格の取得を目指し、どのように勉強を進めたら効率がよいかを解説します。
試験までの日数とやるべきことを洗い出す
まずは、受験科目を決めて試験までの残日数を計算しましょう。1年に1科目ずつ受験する場合は、どの順序で受験するかも検討します。
その後、税理士試験に向けてやるべきことを洗い出します。過去問はいつから始めるのか、使用するテキストや問題集のボリュームはどれくらいか。最初に確認しておくと、ゴールが見えるのでスケジュールが立てやすくなります。
年間スケジュールを立てる
試験までの日数とやるべきことを洗い出したら、ざっくりと年間スケジュールを立てます。
「◯月までにテキストを終え、◯月から過去問で演習を始める」といった形でスケジューリングしていきます。このときはまだスケジュール帳には書き出さず、チラシの裏やメモ帳などに、おおまかに書いていくとよいでしょう。
月ごと、週ごとのスケジュールを立てる
ざっくりとした年間スケジュールを立てたら、次は月ごとさらに週ごとのスケジュールに落とし込んでいきます。「2月はテキストの100ページから200ページを進める」「2月第一週は100ページから125ページまで」といった形です。
月ごとのスケジュールを立てる際、すでに決まっている予定がある場合は、時間を取れないことについて考慮しましょう。たとえば、お正月休みは実家に帰るため勉強できないなら、その日は空けておきます。
週ごとのスケジュールは、毎週見直してずれが生じていないか確認しながら進めていきます。
1日のタスクに落とし込む
最後に、週ごとのスケジュールをさらに細かく1日のタスクとして落とし込みます。
最初から1日のタスクを決めるのではなく、毎日勉強を始める前にタスクを書き出します。前日の予定が遅れていたり、急な予定が入ったりした場合に対応するためです。
スケジュールを立てるときは、ぎっちりと埋めずに、1週間に1日は予備日を作っておくとよいでしょう。予備日で予定のずれを修正できます。
税理士資格の勉強時間以外に気を付けるポイント
税理士の資格取得に必要な勉強時間の目安3,000〜4,000時間勉強したとしても、必ず税理士試験に合格できるわけではありません。
ここでは勉強時間以外にも、注意したいポイントを紹介します。
勉強時間を測りながら勉強する
勉強時間を測りながら勉強することも、税理士試験への勉強を効率的に進めるうえで重要なポイントです。
時間を測ることでだらだらと勉強したり、ながら勉強したりするのを防げます。「1時間は集中して取り組み、10分休憩する」と決めておくと、勉強効率も上がります。
勉強時間を測るときにおすすめなのは、ポモドーロ・テクニックを利用すること。ポモドーロ・テクニックとは、25分の作業時間と5分間の休憩を繰り返し、生産性を上げるためのタイムマネジメント法です。
- 25分間集中して作業する
- 5分間休憩する
- 1と2を4回繰り返したら、15〜30分の長い休憩を取る
25分の作業時間は長すぎないため集中しやすく、ほどよい休憩時間を挟むことで生産性が上がると考えられています。
テキストだけでなく過去問にかける時間も残しておく
税理士の資格を取得するには、テキストを読み込むだけでは不十分です。国税庁のホームページでは税理士試験の過去問と答案が公開されています。試験対策として、過去問を活用しない手はないでしょう。
最初に過去問を確認し、目指すべきゴールを把握してから、テキストや問題集に取り掛かります。「最初に過去問を見てしまったら意味がないのでは?」と思うかもしれませんが、ゴールを知っているのと知らないのとでは大きな差が生まれます。
また、過去問は繰り返し解いて、正答率をできるだけ100%に近付けておくと、本番も十分に力を発揮できるでしょう。
自分に合った勉強方法を選ぶ
インターネット上には、数多くの勉強方法が紹介されています。難易度の高い税理士試験では、合格者の勉強方法をマネするのも1つの方法です。
しかし、自分に合わない勉強方法を続けていても、合格には近付けません。さまざまな方法を試すのは悪いことでないので、自分に合った勉強方法で税理士試験に挑みましょう。
たとえば、暗記の際に音読する方がよく覚えられる人と、紙に何度も書く方が覚えられる人もいます。合わない方法を続けると、勉強の効率が落ちてしまいます。
勉強時間ばかり意識せず質を重視することも重要
冒頭、税理士資格の取得には、数千時間単位の勉強が必要だと説明しました。しかし何千時間勉強したからといって、中身が伴わなければ意味がありません。
勉強時間ばかり意識して、質を怠れば合格は手にできないでしょう。苦手な分野は時間を気にせず、じっくり勉強することが大切です。
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まとめ
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税理士の資格取得に必要な勉強時間は、全体で3,000〜4,000時間といわれています。科目別では1科目500時間程度の勉強が必要です。
しかし、超難関といわれる税理士試験を突破する際に大切なのは、勉強時間だけではありません。勉強の質も意識して取り組みましょう。
また、試験間近になってあわてないように、過去問に割く時間を多めに用意しておくのがおすすめです。テキストにも重要なポイントは記載されていますが、実際に問題を解く練習は過去問や問題集でしかできないからです。
税理士試験に挑むときは、長期戦になることを見越して、計画的に勉強を進めましょう。
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