税理士になるために大学で学ぶこと・学部の選び方・試験で免除される科目

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税理士になるために大学で学ぶこと・学部の選び方・試験で免除される科目

「税理士を目指したいけど大学選びで頭を抱えている」
「そもそも大学では何を習得するの?」などの疑問を抱えていませんか?

結論から言うと、学部によってカリキュラムは異なります。ここでは税理士を目指せる学部ごとの特色や、大学の選び方について紹介します。

試験科目免除制度や有利な就職先についても述べているため、ぜひ最後まで目を通してみてください。

甲田拓也
サイト管理者の紹介
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

税理士になるために大学で学ぶことは何?

税理士になるには、試験科目と関連している学部を選ぶと良いでしょう。特に会計や税法科目を履修できる、商学部・経営学部・経済学部・法学部がおすすめです。ここでは、それぞれの学部で学べる勉強内容について解説します。

商学部

商学部は企業の経済活動に関する学問で、会計や税務、生産管理について学習します。必修科目には、税理士の試験科目である会計学が含まれています。

ほかにも経済学や基礎数学を習得し、商業全般やお金の流れについても学べるのが特徴です。

経営学部

経営学部では企業の管理や経営手法について、多角的な視点から考察や研究をします。経営学の概論的知識と、簿記・会計の基本から応用、経済学、社会学、法学などの関連する分野を習得できる学部です。

また企業会計システムへの理解を深められるため、実践でも活かせるでしょう。

経済学部

税理士試験の受験資格には、経済学を履修した者と記載があるため、要チェックの学部です。履修科目ではミクロ経済学・マクロ経済学を中心に、人とお金の動きや経済にまつわる思想、歴史などについて分析します。

ビジネス感覚を学生のうちに身に付けられるため、働く上でも重宝される人材になるでしょう。

法学部

法学部では、法の側面から事件や問題の解決方法について学ぶ学問です。学問領域は幅広く、法律学や商法を含む基本六法、経営法学なども学べるため、税理士試験の出題範囲と重なる分野も多くあります。

法律について体系的に学ぶと、税法の試験勉強において多角的な視点を持てるようになるでしょう。

税理士を目指して!大学の選び方

税理士資格の取得を目的としている場合、大学の選び方にはポイントがあります。ここでは、3つのポイントを挙げているので、大学選びの参考にしてみてください。

受験資格を得られる学部を選ぶ

税理士試験の学識による受験資格として、国税の公式サイトに下記の記載があります。

・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上習得した者

(参考)税理士試験受験資格の概要|国税庁

【法律学】
法学、法律概論、憲法、民法、刑法、商法、行政法、労働法、国際法など
【経済学】
マクロ経済学、ミクロ経済学、経営学、経済原論、経済政策、経済学史、財政学、国際経済論、金融論、貿易論、会計学、商品学、農業経済、工業経済など

 

カリキュラムに、法律学や経済学が組み込まれている大学を選ぶようにしましょう。また文学部や理工学部の場合でも、法律学や経済学に属する科目を1科目以上履修していれば、受験資格を得られます。

税理士の資格取得者が多い

税理士試験の合格者を多く輩出している大学は、学習環境が整っている可能性が高いでしょう。現役合格者のいる大学は、学校の公式サイトで発表しているケースもあります。ぜひ、公式サイトをチェックしてみてください。

(例)
・第70回税理士試験に8名が現役合格(名古屋商科大学
・税理士試験に現役合格した経済学部の学生らが学長に報告(2017年・山口大学
・税理士試験で会計専門職コースの現役生および出身者が科目合格(第70回・熊本学園大学

資格取得が単位になる

税理士資格の科目に合格すると、単位になる大学がいくつか存在します。税理士資格の単位認定を公表しているのが、以下の大学です。

【公立】
香川大学

【私立大学】
日本大学/関西大学/松山大学/明海大学/福岡大学/東京経済大学/嘉悦大学/高崎商科大学/産業能率大学など

資格取得をサポ―トする講座・コースを設置

大学選びには、税理士資格の取得を目的としてコースや講座のある大学もおすすめです。特に税理士試験の必須科目である、会計学に関する学科やコースのある大学をチェックしておくと良いでしょう。

「税理士資格 大学」で検索すると、複数の大学がヒットします。大学選びの参考になるため、カリキュラムを確認してみてください。

税理士になるために大学で学ぶと免除される科目がある

税理士資格には、免除制度が設けられています。「可能なら試験免除で資格を取得したい」「試験免除にできる科目を知りたい」という方がいるかもしれません。ここでは、税理士試験の免除についてまとめました。

税理士試験の科目をおさらい

税理士試験では、全部で5科目に合格しなければなりません。ただし一度に取得する必要はないため、1科目ずつ受験するのも可能です。

<会計学に関する科目>
必須科目
・簿記論
・財務諸表論

<税法に関する科目>
※下記のうち3科目を取得する
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法又は酒税法
・国税徴収法
・住民税又は事業税
・固定資産税
(※所得税法もしくは法人税法を必ず選択すること)

 

学位取得による試験科目免除制度

税理士試験には、科目免除制度があります。修得した単位や修士論文の内容を国税審議会に申請し、認定されると試験科目5科目の内2科目を免除されます。ただし、認定には審査があると覚えておきましょう。

【税理士試験科目免除制度の流れ】
1.試験科目の一部科目合格
試験科目に該当する授業を履修し、満点の60%以上の成績を得ている
2.修士の学位取得
・単位の取得:税法に関する科目を4単位以上履修(特別研究は含まない)
・学位論文:税法に関する研究内容であること
3.認定申請
4.国税審議会での審査
5.認定・税法に属する受験科目免除の決定大学院まで進むと免除される科目修士と博士では、免除される科目数が異なります。それぞれの違いを確認しましょう。

<修士>
1科目に合格すると、同じ領域の科目が免除になります。
(例)会計学のうち簿記論に合格すると、財務諸表論が免除される
(例)税法のうち1科目でも合格すると、残り2科目が免除される

<博士>
会計学の学位を取得すると、簿記論と財務諸表論の2科目が免除されます。税法科目で学位を取得すると、税法の3科目とも試験が免除される仕組みです。
※ただし平成14年3月以前に大学院で学位を取得した場合は異なります。

税理士になるために大学で学ぶ!在学中の試験合格率は?

税理士の合格率について、気になりませんか。

在学中の合格率を示すために、学歴別で比べてみました。合格率を学歴で比較してみた大学に通学すると税理士試験に合格しやすいのか、気になる方がいるかもしれません。そこで、学歴別に合格率を比較してみました。

【令和3年度(第71回)税理士試験結果表(学歴別)】

受験者数(名)

合格者数(名)

合格率(%)

大学卒

20,601

3,654

17.7

大学在学中

1,345

418

31.1

短大・旧専卒

665

95

14.3

専門学校卒

2,467

397

16.1

高校・旧中卒

1,865

420

22.5

その他

356

155

43.5

(参考)令和3年度(第71回)税理士試験結果

その他の区分を除いて、大学在学中の合格率が高いと分かります。在学中は勉学に集中しやすい環境であるため、合格率が高いと予想できるでしょう。

短期間で合格したいなら大学生のうちに

税理士資格の合格率は、決して高いとは言えず難関な試験です。5科目に合格しなければならないため、合格率の高い在学中に取り組んでおくことをおすすめします。仮に5科目すべてに合格できなくても、在学中に取得している科目があると、社会人になってから試験勉強をする負担を減らせるでしょう。

税理士を目指す大学生におすすめの就職先

税理士資格を取得した後、どんな就職先を見据えるかで選択する科目が異なるでしょう。また学習に対するモチベーションを維持するためにも、就職先を視野に入れておくのが大切です。ここでは、税理士を目指す学生におすすめの就職先を3つ紹介します。

会計事務所・税理士法人

候補として一番多いのは、会計事務所や税理士法人です。会計事務所では、法人・個人の税務相談、各種税務申告業務、記帳代行といった税務・会計に関するサービスに携わります。税理士法人では、税理士業務のほか記帳代行等の会計業務を任されます。在学中に税理士資格を取得した場合は、規模の大きな税理士法人への入社も検討できるでしょう。

一般企業の経理職

税理士資格は、一般企業の経理でも活かせます。財務諸表の作成や税務申告書類の作成には、会計学や税法の知識が必要になるからです。上流工程の業務ですが、資格取得をPRしておくと、早めに着手させてもらえるかもしれません。またベンチャー企業や中小企業の場合、会社の内情やお金の動きを理解していれば、役員クラスへの出世も目指せるでしょう。

金融機関・コンサルティングファーム

銀行や証券会社などの金融機関では、税務・会計の専門知識が必要不可欠です。融資先の経営状況を分析したり、新たな施策を打ち出したりする際に役立ちます。また企業の課題解決をサポートするコンサルティングファームにも、会計や税務について理解しておく必要があります。税理士の場合は、税務のコンサルティングに特化し、経理上での課題を抽出した財務状況からアドバイスできるのが強みです。

 

まとめ

税理士試験の出題科目は、大きく分けると「会計学」と「税法」に分けられます。関連性のある大学の学部には商学部、経営学部、経済学部、法学部があるためカリキュラムを確認してみると良いでしょう。

また在学中の試験合格率が高いため、早めに学習することをおすすめします。税理士試験向けのコースや講座を設けている大学や、合格者を輩出している大学を検討してみてください。また就職先を見据えて学習すると、実践を意識して試験勉強に取り組めます。会計事務所や税理士法人、経理や金融機関など興味のある就職先について調べてみましょう。

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