定額減税は個人事業主でも対象になる?減税される金額や申請の方法を解説

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定額減税は個人事業主でも対象になる?減税される金額や申請の方法を解説

2023年11月に策定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」によって、2024年6月から実施され始めた「定額減税」。

 

会社員や公務員の給与所得者だけではなく、事業所得を得ている個人事業主やフリーランスも減税の恩恵を受けられます。ただし、給与所得者と違って一定の手続きが必要になるケースがあります。

 

本記事では定額減税の概要と個人事業主やフリーランスの定額減税の対象者、税金の控除を受けるための手続きの流れなどを解説します。

2024年から実施される「定額減税」とは

2024年6月から開始された定額減税は、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の経済的な負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置の制度です。

 

日本政府は国民が物価高に耐えるための所得増加を目指しており、さまざまな施策の1つとして定額減税の開始が決定されました。国民に納税義務があるなかでも代表的な所得税と住民税を減税することで自分の裁量で使えるお金(可処分所得)を増やし、個人の購買力を向上させることが制度の狙いです。

 

減税される金額は所得税で1人あたり3万円、住民税では1人あたり1万円です。納税者本人はもちろん、生計を一にしている配偶者や扶養親族の人数分を合わせて受け取ることができます。

 

納税者である夫と妻、扶養している子どもが2人いる家庭であれば所得税は「3万円×4人=12万円」、住民税は「1万円×4人=4万円」で、合計16万円が控除される計算です。

 

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個人事業主も定額減税を受けられる!控除を受けるための方法とは

定額減税は、支給条件を満たす家庭が等しく控除を受けることができます。会社員や公務員だけでなく、自営業やフリーランスの家庭であっても定額減税で税金の控除を受けることができます。

 

ただし、個人事業主が定額減税を受ける場合、給与所得者である会社員や公務員と違って一定の手続きが必要になるケースがあります。

 

定額減税の対象者

個人事業主が納税義務者になっている家庭で定額減税を受ける場合、制度の対象になるのは「個人事業主本人」「個人事業主の配偶者」「個人事業主と生計を一にする親族」です。

 

個人事業主本人

家族のなかで納税義務者にあたる個人事業主やフリーランスの方は、会社員などの給与所得者と同じく定額減税の対象です。

 

ただし、2024年分の所得税に係る合計所得金額が「1,805万円」以下でなければいけません。

 

※「合計所得金額」は、事業所得のみのケースでは青色申告特別控除額を控除した後の金額

 

個人事業主の配偶者

配偶者については、以下の条件を満たす「同一生計配偶者」であることが給付の要件です。

 

・令和6年12月31日(納税者が年の中途で死亡し、または出国する場合は、その死亡・出国のとき)の現況で、納税者と生計を一にする配偶者である

・年間の合計所得金額が48万円以下の人

※青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人および白色申告者の事業専従者は除く

出典:令和6年分所得税の定額減税について

 

なお、定額減税の対象者になるには「民法の規定にある配偶者」に該当する必要があり、内縁関係(事実婚)の人は対象には含まれません。

個人事業主と生計を一にする親族

定額減税の対象になる扶養親族の条件は以下のとおりです。

 

・令和6年12月31日(納税者が年の中途で死亡し、または出国する場合は、その死亡・出国のとき)の現況で、納税者と生計を一にする親族である

・年間の合計所得金額が48万円以下の人

※青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人および白色申告者の事業専従者は除く

出典:令和6年分所得税の定額減税について

 

個人事業主が所得税の減税を受ける方法

個人事業主の人が所得税の定額減税を受けるには、原則として令和6年分の確定申告をおこなう必要があります。

 

確定申告をした際に所得税の税額から定額控除の金額が控除されます。

 

つまり、実際に定額減税が受けられるのは令和7年2月以降です。

 

令和6年6月の給与から所得税の定額減税を受けられる給与所得者(会社員・公務員など)と比較して控除の恩恵を受けられる時期が遅くなることに注意が必要です。

 

個人事業主が住民税の定額減税を受ける方法

住民税について、個人事業主やフリーランスの場合には納付書を使って自分で納税する「普通徴収」になります。

 

令和6年度第1期の控除は6月に行われますが、第1期の定額減税の納付額から直接控除されることになります。

 

所得税と違い、控除の恩恵を受けるのに特別な手続きは必要ありません。

 

住民税の控除の内容は、「住民税決定通知書」に記載されているため、通知書が届いたら確認してみましょう。

 

予定納税がある人は手続きの方法が異なるため注意

個人事業主のなかには「予定納税」をおこなう方もいるはずです。

 

【予定納税とは】

その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などをもとに計算した予定納税基準額が15万円以上となる方について、所得税および復興特別所得税の一部をあらかじめ納付する制度のこと

参考:国税庁 No.2040 予定納税

 

予定納税をする方の場合、定額減税に関する手続きの方法が異なるため注意が必要です。

 

なお、減額申請の手続き措置に伴い、予定納税の納期が以下の通り変更されました。

 

【第1期の納期】

変更前:7月1日~7月31日

変更後:7月1日から9月30日までの期間

 

予定納税の第1期分は令和6年7月1日から同年9月30日まで、第2期分は令和6年11月1日から同年12月2日までが納期です。

 

このうち第1期分について、本人の所得税の定額控除分の3万円が控除されます。もし3万円で控除し切れない場合には第2期の予定納税額から残額が差し引かれるしくみです。

 

なお、予定納税があって、かつ同一生計配偶者や親族がいる場合は、予定納税の減額承認を申請することで、予定納税のときに定額減税を受けることができます。

 

定額減税で控除しきれない場合には「調整給付金」で差額が給付される

個人事業主でも会社員でも公務員でも、何らかの事情によって所得税や住民税の金額が定額減税を下回るケースがあります。

 

よくあるパターンとして考えられるのが、住宅ローン減税をしていて年間の所得税が0円の場合です。所得税が0円になっている状態では、定額減税で所得税を控除できません。

 

さまざまな事情で定額減税をできないと見込まれる人に対しては、控除できない金額を1万円単位で切り上げた「調整給付金」が支給されます。

 

対象者の方には自治体から確認書が届くので、給付の内容を確認しましょう。書類は自治体に返送するべき書類と本人確認書類、口座情報などが記載されており、期日までに手続きをすることで減税予定だった金額を給付金で受け取ることができます。

まとめ

個人事業主でも定額給付金を受け取ることはできますが、基本的に確定申告での減税という形になるため、恩恵を受けられるのは令和7年の2月以降になります。控除だけで定額減税分を控除し切れない場合には現金の調整給付を受けることも可能です。

 

また、予定納税があると所得税の定額減税を受けられるタイミングが早くなるため、ご自身に予定納税の通知がくるかを確認しておきましょう。

 

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監修者

甲田拓也
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!
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