創業融資に落ちた原因は?次回の審査のための準備ポイントや審査通過のコツを解説

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創業融資に落ちた原因は?次回の審査のための準備ポイントや審査通過のコツを解説

日本政策金融公庫の創業融資(現在は新規開業・スタートアップ支援資金)について、誰でも融資を受けられるとお考えの方もいるかもしれません。しかし、実際には念入りに準備していないと審査に落ちてしまうケースがあります。

連続で申し込んでも何らかの改善がないとまた審査に落ちる可能性が高いため、落ちた原因をしっかり把握していきましょう。

本記事では、創業融資(現在は新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に落ちた理由と再審査に向けて準備すべきこと、次回の審査に通過するポイントを解説します。

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に落ちた理由とは?

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に落ちた理由は開示されないため、自分で原因を探るしかありません。

審査に落ちた場合に考えられる理由としては、主に以下の5つが考えられます。

  • 事業と関連する仕事の経験が不足している
  • 信用情報に傷がついている
  • 創業融資計画書の数値に一貫性がない
  • 自己資金が不足している
  • 融資希望額が過剰である

ここでは、審査に落ちた場合に考えられる理由について、詳しく解説します。

理由1.事業と関連する仕事の経験が不足している

事業と関連する仕事の経験が不足していると判断されると、審査に通らない可能性があります。

日本政策金融公庫では、経験(事業と関連する仕事の経験)がある人のほうが経験がない人よりも起業を成功させる可能性が高いというデータを出しています。

出典:日本政策金融公庫相互研究所 開業者の斯業経験と開業直後の業績

日本政策金融公庫では経験を重視する傾向が強いといわれているため、もし経験が少ない、あるいはゼロの状態で審査に落ちた場合、仕事の経験不足と判断された可能性は大いにあります。

具体的に「〇年以上の経験が必要」と断言はできませんが、3年程度の経験はあったほうが良いでしょう。

理由2.信用情報に傷がついている

創業者の信用情報に何らかの「傷」がついていることも、審査に通らない原因になります。

信用情報は、個人が過去に利用した金融商品(ローン商品やスマートフォンの本体代金の割賦販売など)の利用状況や返済状況などが記録されているデータです。

返済の遅れや債務整理などのデータが残っている状態は俗に「傷がある」といわれる状態です。

審査の際は必ず信用情報が照会されるため、審査の際に傷が残っていると審査を通過できる可能性が低くなります。

理由3.創業融資計画書の数値に一貫性がない

創業計画書と面談時に確認される数字に一貫性がないことも、審査に通らない原因となります。

事業計画書にある内容は面談の際に詳細を確認されますが、このときに「売り上げの見込み」「利益目標」などの数値を詳しく説明できなかったり、計画書の内容と違いがあったりする場合には審査通過が難しくなります。

審査では「数値の根拠は何か」「計画通りに進まなかったときはリカバリーできるのか」など、突っ込んだ質問をしてきます、

数値に関して細かなことまで想定して徹底的に創業計画書を作り込まないと、正確に回答するのは難しいでしょう。

理由4.自己資金が不足している

日本政策金融公庫では、自己資金が審査の材料になるケースがあります。自己資金が潤沢かつ計画的に貯蓄している場合、創業者の資金管理能力が証明され、返済能力があると判断されて審査に好影響を与える可能性があります。

反対に、自己資金が不足していると判断されると審査に通らない可能性が高くなります。

一般的には日本政策金融公庫の融資額は総投資額の71~80%が限度とされているため、自己資金比率が30%を大きく下回ると予定していた資金が集まらない可能性があります。

自己資金が足りないと「その事業を成功させるためにいかに努力したか」を証明することもできません。

理由5.融資希望額が過剰である

創業者が希望する融資額が事業の実態と比較して過剰であると判断されることも、審査に通らない原因になります。

審査では開業後の売り上げや利益をシビアに確認して、その経営数値で返済に問題がないかを確認します。

借入希望額が事業の利益と比較して過大だとすると返済が滞るリスクがあるため、審査に通過することが難しいでしょう。

創業支援からIPO支援まで
公認会計士・税理士 甲田拓也事務所

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に落ちたあとの再審査に向けて準備するべきこと

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)に落ちたあと、また申し込むことは可能です。ただ、審査の通過は運ではなく、審査クリアの基準に達しないとまた審査に落ちることになります。

再度審査を受ける場合には、以下のポイントを守って準備を進めることをおすすめします。

  • 半年の期間をあける
  • 専門家に相談する

半年の期間をあける

審査に落ちたあとの再申請はすぐに申し込むこともできますが、改善点がないと評価が上がらず、また審査に通らない可能性が高いです。

まず、再申請のタイミングは「前回の審査に落ちてから半年」以降にしましょう。申し込んだ記録は「信用情報機関」に半年は残り、その記録が残っているうちは審査に通らない可能性が高まります。

また、半年ほどの期間をあけることで、前回の審査に落ちた原因・理由を分析して十分に対策を練ることが可能です。

  • 信用情報から審査に不利になる情報が消えるのを待つ
  • 審査に落ちた原因を改善する時間を確保する

上記の理由により、審査通過の可能性を高めるなら半年の期間をあけたほうが良いでしょう。

専門家に相談する

審査に落ちた理由や次の審査に向けて準備すべきことがわからない場合、会計士や税理士といった士業の専門家に相談するのも有効です。

事業計画の改善などのサポートをしてもらうことができれば審査担当者に評価される内容の文書に改善しやすく、審査に通るきっかけになると考えられます。

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に通過するポイント

ここでは、創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査を通過するための、具体的な対策について解説します。

審査通過のために実行しておきたい対策は、主に以下の2つです。

自己資本比率を高める

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査を通過するためには、自己資本比率を高めることが対策として考えられます。

日本政策金融公庫では自己資本が潤沢であるほど資金管理能力が高いと判断される可能性があるためです。

一概に「自己資本が〇万円以上なら審査に通る」あるいは「自己資本比率が〇%なら審査に通る」とは決まっていませんが、目安としては「創業資金全体の約3割」を目指しましょう。

創業資金の3割の自己資金があれば必ず審査に通るわけではありませんが、一般的な目安として紹介しておきます。

仮にほかの審査項目で懸念がある場合は自己資本比率を30%以上に高めることも検討する必要があるでしょう。

根拠のある事業計画書を作成する

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査を通過するにあたって、ぜひ見直したいのが「事業計画書」です。

単なる希望や想いではなく、数値の根拠があり、妥当性のある事業計画書を作成できれば、審査に好影響を与える可能性があります。

事業計画書を作成するにあたり、気を付けたいポイントは以下のとおりです。

  • 売り上げの予測は実現可能で妥当な範囲か
  • 予想を下回った場合のシミュレーションまでしているか
  • サービスの強みの市場のニーズはマッチしているか

事業内容に一貫性があり、実現可能な数値目標の事業計画書を作成することで評価されやすくなります。

実現可能な目標であることを審査担当者にアピールするには、数値に関する「根拠」が必要です。根拠になる事実を積み重ねたうえで作成した売り上げ目標であれば、整合性がとれた事業計画書になります。

まとめ

創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の審査に通過して融資を獲得するには、審査通過のポイントを理解したうえで念入りな準備が必要です。

一度審査に落ちた方もあきらめず、まずは「なぜ審査に落ちたのか」の理由を徹底的に考えることから始めてみましょう。

考えられる「審査に落ちた理由」を解決したうえで、十分な自己資本と根拠ある事業計画、そして担保を準備することができれば、再審査を通過できる可能性は十分にあるでしょう。

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公認会計士・税理士 甲田拓也事務所

監修者

甲田拓也
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表)
早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!
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